高度差4000 http://www.k4000.jp

事業報告

地域再生塾「高度差4000」企業人コース
12日目 14限目(120分) 

日時 平成22年4月21日(水)18時00分〜20時00分
場所 富山大学五福キャンパス学生支援プラザ 2F

地域再生塾「高度差4000」企業人コース12日目が開講。低炭素・循環型・生物多様性の社会構築へ向けた木材利用の理想循環系について学び,サスティナブルな森林資源の活用による地域再生コミュニティビジネスの可能性について考えた。

1.講義

コミュニティビジネス概論2
木材利用の理想循環系
講師:富山大学芸術文化学部 副学部長 堀江秀夫氏

木材利用の理想循環系

低炭素・循環型・生物多様性の社会構築へ向けた木材利用による理想循環系社会についてを講義。環境問題を考える前提としてエントロピーの法則を理解する必要があるとし,エントロピーの基本法則について説明し,すべての生産活動には高エントロピーの廃物・廃熱の発生が必須であり,地球上の水循環と大気循環により熱エントロピーを吸収させ宇宙へ放出し,物エントロピーは生物循環により炭酸ガスや水蒸気などの物エントロピーや熱エントロピーに変え,この水と炭素の循環が生態系成立の基礎となっていると解説。地球上の活動で発生する余分な熱エントロピーを宇宙へ捨ててくれる水循環と余分な物エントロピーを分解し熱エントロピーヘ転換させる生物循環の持続こそが「好ましい自然」であるとし,豊かな土壌と水,生物の多様性の重要性を話した。

人工物のリサイクルについて建築資材を例に説明,社会に分散した人工物を効率的に収集し輸送するシステム構築と廃棄されたときに分離困難な物質混入が起らないようにすることがリサイクルの前提条件とし,リサイクルのためのエネルギー効率を考慮することが重要とし,天然素材材料は燃やしても循環するので,必要なエネルギー資源としての燃料として活用させることも必要とした。

生物循環を徹底してきた日本の森林について里山林業の歴史や経緯を紹介し,古来からの燃料供給源として利用した里山が,燃料革命・緑の革命により拡大造林が進行したが,建築材以外の収入の見落としや輸入材の影響で産業として成り立たなくなった今日の森林の現状を指摘。木材利用による炭素ストックについて解説し,理想循環資源である木材の持続可能な生産・利用システムを構築させ,森林資源の利子利用として長寿命化建築物資材としての利用と,化石資源の代替としての燃料化,『好ましい自然』を支える土壌の腐食物質となる堆肥化が木材利用の理想循環系であるとし,地下資源からの生産から廃棄人工物からの生産に切替え,森林資源の生産量(利子)範囲内で木質バイオマスを積極的に利用する社会構築することが木材利用の理想循環系社会であると講義した。

2.討議

講義内容の木材利用の理想循環系ついて質疑や意見交換など各塾生と講師が交わし理解を深めた。森林認証制度によるカーボンオフセットモデル事業についてや,富山県内の林業の現状や県産材の活用,バイオマス事業の採算についてなど森林資源の活用のビジネスヒントを探った討議が交された。

次回の地域再生塾「高度差4000」企業人コースは
4月28日(水)15限目 高度差4000演習1「全体像と個別pj1」