高度差4000 http://www.k4000.jp

事業報告

地域再生塾「高度差4000」 企業人コース
7日目 9限目(120分)

日時 平成22年2月10日(水)18時00分〜20時00分
場所 富山大学五福キャンパス学生支援プラザ 2F

地域再生塾「高度差4000」企業人コース7日目が開講。地域再生塾生8名が、経済活動からとらえた環境政策についてや、低炭素社会構築に向けて世界的に着目されている排出権取引についてを先駆事例から学び、 経済学の視点から高度差4000の持続可能な地域再生の可能性を考えた。

1.講義

高度差4000コミュニティビジネス概論2
地球温暖化問題と排出権取引
講師:富山大学極東地域研究センター 山本雅資氏

高度差4000コミュニティビジネス概論2

環境問題とは人間の経済活動に伴って引き起こされるものであり、人類の歴史上からも人間が新しい技術を獲得し、経済活動を活発化させる度に環境破壊が起っているとし、自然環境に与えた圧力の反作用として人間に害が及んだ時にはじめて人間は環境問題を強く意識すると環境問題を経済学の視点から説明。自然環境と経済活動の間には選択の問題があり、市場メカニズムはこの問題に解決するために優れた制度であるが、環境問題のように貨幣評価になじまないものは、市場の意思決定プロセスから抜け落ちる可能性が高く、その場合、市場は適切に機能しないという点を指摘した。

地球温暖化対策のための環境政策として経済学から考えられるものとして、直接規制、環境税・炭素税、環境補助金、排出権取引の4つを掲げた。経済学が考える社会的に望ましい状況を「温暖化対策の費用が社会全体で最も小さくなる状況」と定義し、その状況を達成できるかという点から4つの環境政策を解説。直接規制は経済学からみると効率的政策ではないと指摘。環境補助金は短期的には環境税と同じ効果を持つが長期的には環境汚染を増大させるとし、限界削減費用に関する情報が確実にわかっている場合、環境税と排出権取引が効率的な政策であると解説した。

日本における地球温暖化問題の現状として、京都議定書の内容やCO2排出量の国際比較などを紹介、排出量取引の先進事例としてEU域内排出量取引制度(EU- ETS)とプレミアムつき排出許可証の事例をあげ、排出量取引の内容について塾生に説明した。また、富山県の話題として、小水力発電など再生可能なエネルギー供給のポテンシャルが高いと話し、高度差4000を環境経済学からみた可能性を話した。

2.討議

高度差4000コミュニティビジネス概論2

排出権取引や環境経済学に関しての疑問や質問などを交わし塾生たちは理解を深めた。山本氏は、塾生たちへ「経済学の理論は、社会にどのようにインセンティブを付与すれば、経済活動を望ましい方向へ導くことができるかを示すもので、議論の際に立ち返る場所となるし、本質からずれないために重要である」と話した。

塾生から排出権取引や企業のCSRについての問題など富山での現状や将来性についても意見が交され、ローカルの中で何をすべきか経済学から高度差4000を考える場となった。


次回の地域再生塾「高度差4000」企業人コースは2月24日(水)高度差4000再生地域づくり論3