魚津三太郎塾と 事業レポート

 

魚津三太郎塾 事業レポート

13日目 第16限

魚津三太郎塾第2期13日目 第16限
地域再生システム論
開催日時:平成25年3月21日(木)14:00〜17:00
場所:魚津市役所第5・6会議室

魚津三太郎塾第2期の13日目が開講。今回は地域再生システム論として今の社会と地域マネージメントについて考え,まちづくりやプロジェクトをどのようにまとめていくのかをプロダクトデザインの観点から学び,魚津市での循環型経済構造に基づく社会・街の在り方を探り,今後のビジネスへの活用ヒントに結びつけた。

13日目第16限 講義&討論 地域再生システム論B

講義&討論 地域再生システム論3
デザインマネジメント
〜今の社会と地域マネージメントを考える〜
講師:富山大学芸術文化学部 教授 松原博氏

「自分がどこを狙うのかをハッキリ持つことが重要」

13日目 第16限

今の社会を考えるには人口動態から捉える切り口があるとして,年代別人口構成が社会現象の基礎となり,これにより多くのことが解明できると2000年時での日本の人口構成表から各世代の誕生時の社会背景を解説,2050年の構成予想を示し,人口が減り続けることになる状況を説明。年代層による購買意欲を表わした購買需要曲線と日本の人口世代構成のグラフを重ね合わせ,人口動態が景気に大きな影響を及ぼしているとし,現在のデフレスパイラルについて解説した。

そして,統計学的に生産人口が非生産人口の倍以上になる経済成長が加速する人口ボーナス期が1国1度あるとし各国における状況を示し,日本のピーク終了や新興国の予測を紹介した。また,今の社会について消費社会の流れから捉え,第一の消費社会(大正から戦前まで),第二の消費社会(戦後から昭和オイルショック前まで),第三の消費社会(オイルショック以降からバブル崩壊後まで)の消費動向や経済・社会背景などを解説。さらに現在の第四の消費社会について,人口減少・経済力低下・生産年齢人口の低下という環境での消費行動変化として社会志向,利他主義,シェア志向,シンプル・カジュアル志向,日本志向・地方志向,「ものからサービスへ」の本格化・人の重視をあげ,これからは循環型経済による消費社会になるとした。

また,「もの」と「こと」から考えることで,新たな価値観を生み出す思考観念について講義。具体的で目に見える存在である「もの」と目に見えない概念である「こと」のそれぞれの軸を考えた場合,自分はどこを狙うのかをハッキリ持たなければ平凡なモノになるとし,その狙いが鮮烈であるほど「造り上げた作品」の存在感が増すと話した。プロダクトデザインについて,新しい産業における人間生活のあり方を形作る活動として『デザイン』が存在し広い分野にわたっているとし,伝統工芸やクラフトとの違いを説明。現代社会でのデザインの対象物が製品からサービス・インターフェース・ネットワーク・プロジェクト・ディスコースとハードからソフトまで変化しており,デザイン手法も過去の大量生産・大量消費を前提とした開発から環境に対する影響や資源保全を考慮した開発へと変化していると話した。また,持続可能な社会を考えるこれからの時代では,企業・消費者・市民の3つの社会的責任が求められ各バランスをとっていくことが重要であると講義した。

地域の事例として高岡の伝統工芸と『高岡クラフト市場街』の展開を紹介し,直接的な費用対効果ではなく長期的な投資効果を見えるようにする外循環とうち循環の考え方やイベント状況と成果・課題についてを説明。さらに,「身体化された形態」「制度化された形態」「客体化された形態」の3つの文化資本の概念を説明し,組織・個人が持つ能力(資産)を環境(街)で最大限に生かすことが「街」の文化となると説明。地域産業が基本となり『循環型経済構造』に基づく『社会・街の在り方』を考えることが大切であると話した。

質疑

塾生たちから講義について質疑や意見交換がおこなわれた。現在の社会状況での消費動向やアイデアの思考法,価値観の変化についてや伝統産業の変化や地域イベントについて様々な観点からの話題で討議された。松原教授は,「体験や経験がノウハウに変わる。現場にはすべての情報があり自分で現場を知ることが大切である」と話し,塾生たちは,個別プロジェクト立案に際しての思考法や地域マネジメントの思考法を学んだ。