魚津三太郎塾と 事業レポート

 

魚津三太郎塾 事業レポート

11日目 第14限

魚津三太郎塾第2期11日目 第14限
地域再生システム論
開催日時:平成25年3月8日(木)14:00〜17:00
場所:魚津市役所第5・6会議室

魚津三太郎塾第2期の11日目が開講。今回は地域再生システム論として「でんき宇奈月プロジェクト」に携わっている富山国際大学上坂博亨教授から,小水力発電と地域活性化について学び,地域の活性化に地域の企業がどのように共生し関わりを持っていけるのかを考えた。

11日目第14限

講義&討論 地域再生システム論1
でんき宇奈月プロジェクト
〜小水力発電と地域活性化〜
講師:富山国際大学子ども育成学部 教授 上坂博亨氏

「先進地を知ることで活動イメージが明確化する」

11日目第14限

富山の自然を活かした低炭素型社会をキーワードにし,黒部市宇奈月温泉をフィールドとしたオール電化の温泉リゾートをめざした地域活性化事業「でんき宇奈月プロジェクト」の経緯や概要・背景や展望について紹介。

同事業は,近年の宇奈月温泉の宿泊者数の減少や地域の様々な問題の解決策として小電力発電によるエネルギ自給と電気自動車を活用したクリーンなまちづくりで地域観光の活性化を図るため2009年にスタート。

プロジェクト発足のきっかけから組織構成の概要を説明。プロジェクト最初の活動となったスイス・ツェルマットの視察を紹介。同所は電気自動車の先進地で宇奈月温泉と共通する立地環境で観光地として成功している。1960年代からEV(ElectricVehicle)を利用し,ガソリン車の乗り入れを禁止した背景や現在の村内のEVの運行状況,村内でEV製作と修理をおこなっていることなど写真を交え紹介。先進地の視察をおこなったことで事業の具体的活動イメージがはっきりさせることができ,問題にぶつかった時もツェルマットならどうするかを考えることで,アイデアの発想を早くできるようになったと話した。

宇奈月温泉で平成22年4月から開始したプロジェクトについてオープニングセレモニーの様子から電気自動車・電気アシスト自転車・電動カートレンタル事業等を紹介。電気の自給自足を目指した小水力発電試験に向けた調査,データの収集や実験事業をはじめ,バッテリー着脱式電気自動車の開発や温度差発電事業,宇奈月温泉に合わせたEVの開発や実証運行の状況分析結果につてやコンベンションの開催・招致などプロジェクトが取り組んだ事業を説明した。

また,メディアと連携した情報発信やエコ観光ツアーなどの啓蒙活動も紹介した。地元企業による地域の自然エネルギーを活用した再生可能エネルギー関連の技術開発についてや黒部の地熱エネルギー採取実証実験についても話し,でんき宇奈月プロジェクトがめざす低炭素化の地域づくりによる地域活性化について講義した。

質疑

講義について質疑や意見交換がおこなわれ塾生たちの理解を深めた。地域活性化の観光への影響,観光客の反応や地域住民との連携についてや,EVの地域製作について,コンパクトな小水力発電機について討議された。

上坂教授は環境ビジネスの他の成功事例として岩手県葛巻町の風力発電やドイツ・フライブルク,デンマーク・サムソ島を紹介し,再生エネルギーのコストや課題を示しながらも『地下資源が枯渇する前に我々は安定した技術を持ち,消化型資源に頼らない持続型(循環型)エネルギーを生産できるように変わらなければならない」と話し,塾生たちにこれからの時代を見据えて魚津で何が出来るのかを考えさせた。