魚津三太郎塾と 事業レポート

 

魚津三太郎塾 事業レポート

6日目 第9限

高低差4000環境論A
開催日時:平成25年1月10日(木)14:00〜17:00
場所:魚津市役所第5・6会議室

魚津三太郎塾第2期の6日目が開講。富山の高低差4000mの環境について,魚津の水や物質の循環と富山湾の環境から学び,魚津の水資源,富山湾の魅力を科学的に知ることで,その環境を守り・育み・活用することでの地域と企業が今後目指すべき方向を探った。

6日目第9限 講義 高低差4000環境論A

水・物質循環
〜富山の水資源と富山湾〜
講師:富山大学大学院 理工学研究部 教授 張勁氏

「富山から世界が見える。樹1本鰤千本〜高低差4000mのショーウインドウ」

6日目第9限 講義&討論 高低差4000環境論-2

環境省が選んだ日本の名水百選に選ばれた名水数は富山が全国で最も多い。富山は大陸からの距離や高い山脈の影響で年間降水量が多く,特に冬期間が多い気候と,高低差4000mの地形や自然が生み出す豊富な水量が美味しい水の理由と解説。水の成分はイオン量の測定で分析でき,地中内の地質に含まれる鉱物の影響で味に違いがでると話した。また富山の地形は世界の気候のショーウィンドウと話し,立山山頂の北極圏から富山湾に流れ込む赤道由来の対馬海流まで,きれいなグラデーションで地球のすべての気候が味わえると高低差4000mの富山の魅力を伝えた。

陸域や海洋における水を取り巻く環境フィールドについても解説。水のDNAともいえる酸素同位体の分析により,その水の出所が判別できトリチウム濃度の分析から年代も判別でき,湧水の水源や時代が分析できると説明。魚津は約30kmの範囲で高低差3500mという地形で地下水が海底から湧出しており,数千年から1万年前の魚津埋没林が保存された理由もこの低温で清潔な海底地下湧水のおかげと話し,魚津の森そのものの水が湧く海底湧水と3本の河川から流れる水と海という魚津の水循環について解説。

海の豊かさは森の恵みの影響で水の輪が作った奇跡という意味の「樹1本鰤千本」という言葉を紹介して水循環の重要性を話した。また、富山湾内の地形や、環境・ホタルイカやオオクチボヤの生態の紹介とともに、日本海は世界海洋大循環の縮図であり,地形的特徴から富山湾を知ることが,日本海を調べることにつながり,さらには世界を知ることにつながるとし「すべてのものは水で繋がっている。水で環境の変化を知ることができる」と話した。 

6日目第9限 講義&討論 高低差4000環境論A

塾生から講義への質疑・討論がおこなわれ,水資源の将来や水を大切にすることの意義,工業廃水・生活排水など人為的排水の海洋への影響,農薬の影響等様々な水資源と水循環についての疑問や考えが投げかけられ,魚津の素晴らしい水資源と水循環を理解・確認し、どのようにその環境を守り・育み・活用するかを考えた。

張教授からは「水は人間の血液」というレオナルドダヴィンチの言葉を引用して「水の有り難みを理解し大切に使って欲しい。水の量はコントロールできないが森を大切にする事で『質』は守ることができる。水の価値を伝えてください」と話した。