魚津三太郎塾と 事業レポート

 

魚津三太郎塾 事業レポート

5日目 第8限

高低差4000環境論@
開催日時:平成24年12月5日(木)13:30〜16:50
場所:魚津市役所第5・6会議室

魚津三太郎塾第2期の5日目が開講。魚津の自然環境について“さかな”と水循環の観点から学び,魚津の水循環の魅力やその中での企業の立ち位置を探り,今後の事業計画へのヒントを探った。

5日目第8限 講義 高低差4000環境論@

水循環とさかなたち〜森・里・海と魚〜
講師:魚津水族館 館長 稲村修氏

「標高3000mの立山連峰から水深1000mの富山湾へつながる水環境,富山の多様な環境が富山湾の魚を育む」

5日目第8限 講義&討論 高低差4000環境論-1

日本海の中心に位置する富山湾は標高約3000m級の北アルプス立山連峰からの水が注ぎ込む水深約1000mの地形を有する。魚津は劒岳・毛勝山・僧ヶ岳といった高い山々から流れる片貝川・早月川・角川といった急流河川が富山湾に注ぎ込むため魚津の海は急に深い地形となり高低差が大きくなり多様な環境を生み出しており,多様なさかなたちが生息していると話し,魚津での「川・海」「山・森」「空気」の水循環の一角を占める川と海に生息する“さかな”を河川上流から深海域まで順次紹介した。

魚津の河川は急流なので上流域と中流域しかないのが特徴と自然環境を解説。生息する淡水魚を上流域のイワナ・ヤマメからマス・カジカ類・鮎・サケなどを様々なエピソードを交えて紹介。早月川の今年の水流不足の背景や生態環境の現状について説明した。富山湾のさかなの紹介では富山湾水温鉛直分布図から海水について説明。沿岸表層水,対馬暖流水,富山湾では水深300m以下となる清浄で冷たく栄養豊かな深層水,低層水についてを説明し,表層に生息するシロギス,イワシからクロダイ,マダイ,ブリなど様々な魚や,水深100mから200mに生息するホッケやマダラ,ガンコなどや,日本海固有水の深層域で生息するクロゲンゲ・ノロゲンゲ,紅ズワイガニやバイ類,ホッコクアカエビなど富山湾に生息するバラエティ豊かな魚を生態や料理法などのエピソードを交えて紹介解説した。

また,魚津発祥のベニズワイガニのカゴ漁についてや唯一富山湾でしか群生していないオオグチボヤの生態についても紹介。富山・魚津の地形や気候といった多様な自然環境が富山湾の豊かで多様な魚を育んでいると話した。また,平成8年に県が制定した富山県のさかな「富山湾の王者ブリ」「富山湾の神秘ホタルイカ」「富山湾の宝石シロエビ」の3種だけでなく,新富山県のさかなとして「ゲンゲ」「バイ」「ベニズワイガニ」を加えることを提案した。 

5日目第8限 討論 高低差4000環境論@

塾生から講義への質疑・討論がおこなわれ,魚津の自然環境や海洋生態についてや早月川の水量不足の問題、環境変化による生態系への変化や水産業の今後の展開についてなど塾生の企業技術や経営資源を生かして水資源とどう関わり何をするべきかを考えた。稲村氏は「魚津の資源活用は,自分たちで考えるだけでなく,歴史を学べばヒントがある。

市史や先人からリサーチしてストーリーを作って下さい」と話し,「水族館や博物館、図書館などを見に来るだけでなくもっと活用して欲しい」「一言で言える魚津の強みを考えて欲しい」と塾生たちへエールが贈られた。