魚津三太郎塾と 事業レポート

 

魚津三太郎塾 事業レポート

7日目 第10限

高低差4000環境論B
開催日時:平成25年1月17日(木)14:00〜17:00
場所:魚津市役所第5・6会議室

魚津三太郎塾第2期の7日目が開講。富山の高低差4000mの環境について,富山の水循環と生物多様性・生態系サービスの観点から学び,生物多様性の意義や重要性を知り,地域と企業が今後の将来を見据えてどのように取り組むべき方向を探り,ビジネスチャンスの糸口を思考した。

7日目第10限 講義 高低差4000環境論B

水循環と生物多様性
〜富山の水循環と生物多様性・生態系サービス〜
講師:富山大学大学院 理工学研究部 准教授 山崎裕治氏

「富山には高低差4000mがおりなす多彩な地形環境により多種多様な生物が育まれている」

5日目第8限 講義&討論 高低差4000環境論-1

魚津の地形・自然から,水域・陸域・大気を循環し生物を育む水循環は魚津市の中で完結していると話し,生物に不可欠な炭素・リンなどの物質の循環には生物の多様性が深く関与している。高低差4000mの富山は陸域で高山〜亜高山〜山地〜丘陵〜平地,海域で浅瀬〜深海という地形と環境により多種多様な生物が育まれていると説明。

生物多様性とは生き物が持つ階層構造(遺伝子・種・生態系)のそれぞれにおける多様さ・複雑さのことと解説。遺伝子には生き物の歴史が刻まれていると話し,現在の遺伝的多様性は,長い年月をかけてそれぞれの環境に適応進化した結果であり,遺伝的多様性が高いほど生物の存続性も高まると講義。ヤツメウナギの多様性の研究事例から遺伝子を見る事で生物の歴史を知ることができることを紹介した。

また種の多様性を見る場合,地域や生物圏・グループに分けて評価することが必要とし,不変ではなく種分化と絶滅が生態系を構成する要因によりおこなわれ,生物と環境のつながりの多様さである生態系多様性が生物多様性に大きく影響すると話した。生物多様性は生物の存続と将来進化のため、そして人間生活への持続的活用のためにも大切で人間は多様な生物から様々な恩恵を受けているが、生態系の人為的要因から過去100年間の絶滅率が高いと説明。開発や乱獲による種の減少、生息・生育地の減少,生活の変化による二次的自然の変化・里地里山や水田における質の低下,外来生物による生態系の錯乱,地球温暖化による地球規模の生態系の変化と要因について解説した。

また生物多様性に関しての世界や日本の取り組みや事業者に求められる取り組み,民間参画の重要性を説明。日本でも有数の多様性が存在する富山・魚津の生態系も現状のままでは存続が危ぶまれると話し,正しい知識を持ち,将来を見据えて活動することがビジネスチャンスにつながると講義した。 

7日目第10限 討論 高低差4000環境論-3

塾生から講義への質疑・討論がおこなわれ,生物の多様性について魚津や県内での現況や取り組み,水環境の保全との関係やエコ活動との関連など塾生の疑問から討議。

富山での事例として上流でのサツキマスの放流を止めサクラマスの遺伝子を守った研究を紹介し,生態系では外来種等の遺伝子の違う物は混ざらない方が良いと話し,身の廻りで出来ることとして「自然や生物を意識して注目しましょう」と塾生に呼びかけた。