地域再生塾「高度差4000」企業人コース17日目が開講。高度差4000のコンセプトの一つである循環型社会について,廃棄物とリサイクルの観点から国際資源循環について学び,これからの新規事業構想構築に於けるビジネスのヒントや課題について考えた。
「ごみを経済学的に考える」
大量消費・大量廃棄社会から資源循環型社会へ移行する現況と背景を経済学の観点から講義。日本の廃棄物に関する制度・法律を解説した上で,経済学的に考えると需要と供給の関係でゴミかどうかは決まるとし,資源循環過程での有償・逆有償の理論を講じた。また,逆有償の取引の場合,情報の非対称性が生じるため,市場のメカニズムの外にレジームが必要であると話した。
「国際資源循環の現状」
アジアにおける資源需要の増加に伴い,資源の国際移動が急増している現状の中,不適切な廃棄物の越境移動の問題や産業の国際分業化に伴う課題を示し,国際資源循環について講義。都市鉱山とも呼ばれている廃棄物からのレアメタル回収や日本の循環資源の多数が輸出される現況を紹介し,適正に処理されない問題や資源循環分野の国内産業の維持やバーゼル条約の批准国拡大とバーゼルバンの議論など国際資源循環の課題を話した。
「自動車のリサイクル」
伏木富山港などで1990年代から盛んに取引されたロシア向け中古車輸出に関して紹介。ビジネスの背景とロシアの2008年の金融危機以後に激減した輸出状況を示し,経済的非効率をもたらす関税について解説した。
また,北九州市の自動車リサイクル工場を紹介し,ノウハウや考え方を含めたエコタウンの輸出も重要になると話した。
塾生たちによる国際資源循環についての質疑がおこなわれ,資源リサイクル市場の現状や不法投棄問題など様々な課題が話し合われた。
講師の山本准教授は「アジア全体でグローバルな視点で廃棄物を考えることが必要で,資源循環を考えた製品へ移行させることが重要」と話し「生産者に廃棄の責任を負わすことでリサイクルを考えた製品をデザインするようになる」とこれからの新規事業構想構築に於けるビジネスのヒントを与えた。
次回の地域再生塾「高度差4000」企業人コースは 7月7日(水)