高度差4000 http://www.k4000.jp

事業報告

地域再生塾「高度差4000」魚津モデル行政人コース 4日目

富山大学
地域再生塾「高度差4000」魚津モデル
日時 平成22年3月5日(金)13時00分〜17時30分
場所 魚津市役所2階会議室

地域再生塾「高度差4000」の行政人コース・魚津モデルの4日目が開講。魚津市若手職員13名の塾生が,低炭素・循環型・生物多様性の社会構築へ向けた木材利用の理想循環系についてと,魚津市の多様な植物からとらえた自然環境の現状について学び,地域再生への可能性を検討した。

4日目6限目
講義

コミュニティビジネス概論1
木材利用の理想循環系
講師:富山大学芸術文化学部 副学部長 堀江秀夫氏

地域再生塾「高度差4000」魚津モデル行政人コース 4日目6限目

高度差4000を活かした低炭素・循環型・生物多様性の社会構築へ向けた木材利用による理想循環系社会についてを講義。理想循環系の前提として環境問題をとらえるにはエントロピーの法則を理解する必要があるとし,物質と熱は拡散するエントロピーの法則と熱エントロピーと物エントロピーについて解説し,すべての生産活動には高エントロピーの廃物・廃熱の発生が必須であり,地球上の水循環と大気循環により熱エントロピーを吸収させ宇宙へ放出し,物エントロピーは生物循環により炭酸ガスや水蒸気などの物エントロピーや熱エントロピーに変え,この水と炭素の循環が生態系成立の 基礎となっていると解説。

「自然破壊」は『人類にとっての自然の「好ましさ」』が破壊されたことであり,「好ましい自然」とは,地球上の活動で発生する余分な熱エントロピーを宇宙へ捨ててくれる水循環と余分な物エントロピーを分解し,熱エントロピーヘ転換させる生物循環の持続であると話した。物エントロピーである人工物のリサイクルについて建築資材を例に説明,社会に分散した人工物を効率的に収集し輸送するシステム構築と廃棄されたときに分離困難な物質混入が起らないようにすることがリサイクルの前提条件とし,天然素材材料は燃やしても循環するので,必要なエネルギー資源としての燃料として活用させることが重要とした。

生物循環を徹底してきた日本の森林について里山林業の歴史や経緯を紹介し,,戦後の燃料革命による炭焼き業の途絶や輸入材による建築用材生産収入の途絶による対応できなかった日本の林産業の失敗を指摘。理想循環資源である木材の持続可能な生産・利用システムを構築させ,森林資源の利子利用として長寿命化建築物資材としての利用と,化石資源の代替としての燃料化,『好ましい自然』を支える土壌の腐食物質となる堆肥化が木材利用の理想循環系であるとし,地下資源からの生産から廃棄人工物からの生産に切替え,森林資源の生産量(利子)範囲内で木質バイオマスを積極的に利用する社会構築することが木材利用の理想循環系社会であると講義した。

7限目討議

講義で提供された話題に関しての質問や意見交換がなされ塾生相互の理解を深めた。質問では,富山の林業と林産業の現状や問題などや今後の里山について,木質ペレット燃料の普及やカーボンオフセット利用による森林活動など様々な話題が取りあげられ,実際の魚津市のケースに置き換えた観点からも討議さた。

次回の魚津モデル講義は3月18日(木)
「高度差4000コミュニティビジネス概論2」「魚津市の自然環境の現況2」