魚津三太郎塾中級コースの中間報告として,これまでの中級講義の経過報告と各塾生による事業計画の内容や取り組みについてプレゼンテーションをおこない,地域産業と地域資源の可能性について話し合われた。
魚津三太郎塾中級コースの目的やこれまでの取り組みについて説明。
魚津三太郎塾修了塾生を対象に塾の基本理念である”自ら調べ考え動く”人材育成のため事業遂行の障害・解決を自ら見つけ出す訓練を中級コースで実施。自らの課題設定や障害解決のアプローチを身につけることなどを目標とし,塾生育成および育成サポート体制システムが魚津地域に根ざす形態を模索したと説明。
魚津三太郎塾プロジェクトの全体像を示し,中級での学習ポイントである「自ら考えて調べる」「目次の必要性」「何がわからないといけないのか」「塾の2本柱である魚津の水循環とCSV」について紹介。本プロジェクト当初からの課題でもあった『環境と経済の両立」について,自然の摂理や世界の流れを知り,社会的課題と企業活動の間に共通価値を創造できれば両立は可能であるとし,企業の社会的責任(CSR)と戦略的CSRについて,経済活動と地域課題の間に共通価値を創造するCSVの考え方について解説した。さらに,5月から11月までの開催された講義・演習を紹介し,各回の概要とポイントについて説明した。今後の中級コースの進め方については,塾生との現地ヒアリング(先進地視察)実施と事務局での進捗管理と定期的な成果チェックと情報提供をおこなっていくとした。また,第2の中級コースについては,今回の開催から得た有効性、指導方法,開催時間・時期の課題などを検証して開催を検討するとし,創業対策として七尾市の「ななお創業応援カルテット」の事例をあげ,もっと広い対象での創業支援の必要性についても触れ,魚津三太郎プロジェクトの今後の重要性と可能性について示した。
中級塾生のうち3名による事業計画の中間プレゼンテーションが,1人あたりの持ち時間を発表15分,質疑15分の30分でおこなわれた。パワーポイントを用いてのプレゼンテーションは,各塾生の事業の現状や背景,初級からの経緯や課題を背景に構想した事業内容と将来像など論理的に説明。副市長はじめ企画総務,民生,産業建設,教育委員会,上下水道局の市幹部職員に向けておこなわれた。各発表後に事業へ対しての質疑や意見,提案や感想などの討議がおこなわれた。
「目指すことは皆同じだった。次世代のことを思い魚津の水循環とCSVを考えるネットワークをつくりたい。自社の商品力をつけ新しい商品開発に力をいれたい。参加して自分の中の考えが整理できたことが良かった」
「求めるところはみんな同じ。同じ意識でしっかり繋がること,同じ思いを持つことがスタートになる。繋げるだけでなく商品にしてお金にしなければ産業にならない。魅力ある商品に仕上げることが商人の役割。人口も少なくなる私たち次の世代に地域を残す為にも,魚津の水循環の商品が無意識に手にとってもらえるように仕上げていきたい」
「塾生として,事務局として参加して民間企業の方と同じ方向で意見を交わし合えたのが良い経験だった。深く考えることができた場であった。中級講義では様々な目標となる事例を探っていく手法を学んだことが良かった。これからも色々な事例を探っていきたい」
「事業プレゼンにあった魚津の朝ごはんや季器の提案でも、企業単独の取り組みではなく,魚津の良さをネットワークをつくって次世代へ繋げていくという方向へ進んでいる」
熊本の地下水を守るための行政の取り組みとして@地下水涵養対策A節水対策B地下水質保全対策C地下水保全の普及・啓発D地下水の活用に取り組んでいると説明。地下水涵養対策としての公益財団法人くまもと地下水財団のお米をたべて,水をつくる「ウォーターオフセット事業」や地下水を育む「えこめ牛」の取り組みを紹介した。また,民間企業の動きとして株式会社山内本店の地下水涵養への取り組みを紹介した。
金岡教授は「熊本では水を守ることを一般市民によく伝えている。色々な人たちが輪になったいる。水を守ることで地域が一つになっている。最先端の事例として紹介したが、魚津の取り組み,塾生の取り組みも良いレベルにきていると思う」と話し、それを受けて谷口副市長と塾生と意見の交換がおこなわれた。続いて,塾生の発表から話題提供までの感想と魚津で当てはめた場合の可能性について参加者から話しを伺い「行政との連携と可能性」「行政だけでは解決できない課題」「一次産業と水循環の連携」「魚津の住みやすさアンケートと幸福度アンケートの結果」「地域のイイものを市民に伝える重要性」「民間と行政の役割分担」「魚津三太郎塾の成果」などについて話された。
谷口副市長は「事業の危機感や企業課題の解決から始めて新しい商品を生み出した。塾生の皆さんは自分が気が付かないうちに力を付けて、人とモノと情報がつながりをつくっている。中級では高度なプレゼンができ,高い位置からモノの全体を見ることができている。3人とも今ある課題をクリアするために何をするかの目的は同じ。自分が考えることで仕事に直結していることは素晴らしい」と塾生の取り組みを褒め称えた。金岡教授は中級講座について「初級はテーマ設定までで手一杯だったが,中級では自ら調べ,仮説をつくり仕組みを作りだし,どのボタンを押せば消費者が動くかを考察した。成果としては良い感じであがってきている。本業強化を水循環での中級のシステムづくりは70点,これから強化して進めて行くこと,今後どうするのかを話し合っていきたい」とまとめ座談会を終了した。