コミュニティビジネス育成企業化論②

2014年03月13日
魚津三太郎塾第3期9日目
コミュニティビジネス育成起業化論
開催日時:平成26年3月13日(木)14:00〜17:00
場所:魚津市役所第1会議室

コミュニティビジネス育成起業化論として県内で有畜循環型複合有機農場を実現している橋本順子氏を招き,農業と環境を両立させたコミュニティビジネスの事例から,自然環境のビジネス化や自然と共存した持続可能なコミュニティビジネスのあり方を学び,里山の可能性や循環型環境ビジネスからビジネスプロジェクト創出へのヒントを掴んだ。

9日目第13限

講義&討論 コミュニティビジネス育成起業化論②

農業と環境の両立
〜有畜循環型複合有機農場〜
講師:有限会社土遊野 橋本順子氏
コミュニティビジネス育成起業化論②

里山の棚田を守り,持続可能な暮らしを実践した有畜循環型複合有機農場の土遊野農場をスライド映像を通して紹介。農場の施設や風景,無農薬・有機農法によるあいがも農法などによる水稲栽培の様子や自家飼料・平飼いによる養鶏舎の様子,陶芸窯や天然酵母パンの工房,小水力発電や太陽光発電設備,体験イベント風景,人材の研修受け入れやNPO団体との森づくり活動の様子などを解説しながら紹介した。東京生活で「人の命を支える田畑が見えない」という思いから、農薬空中散布阻止のための草刈り十字軍に40年前に参加し富山を訪れたのがきっかけで土集落に移住し,農業経験が無い中で自立と共生をめざして農業に取り組みはじめた経緯を話し,自給を目指して「土」と「遊」ぶ「野」原から「土遊野」と名付けた農場での有畜循環型複合有機農場について説明。

アイガモやヤギ、鶏を農作業に活用する「有畜」について,農場の鶏糞や米ぬかを肥料に、田畑からのくず米くず野菜を家畜にえさにする「循環型」について話し,食料自給を目指していく中で,米,野菜,小麦,そば,鶏卵,鶏肉やシフォンケーキ・天然酵母パンを作る複合経営となっていった経緯,環境負荷をかけずにコストを減らすこと考え,化学肥料や農薬を使わない有機農業に取り組んでいることを紹介。

「自分で作ると全てが見える」と話し,食の安心についての考えやフードマイレージの視点から食料自給・地産地消による化石燃料消費量の削減,環境負荷の低減の必要性を説明し,「自分は何ができるのか,何をやってはいけないのか,見極めを持ってポリシーで自分たちの事業に取り組む,どうすれば持続可能なのかを自分で考えて」と塾生へメッセージを送った。持続可能な暮らし,営農,地域づくりを目指すには,人間や家畜の食糧自給率高めると同時にエネルギーの自給率を高めることも大切と話し,自然エネルギーを活用した小水力発電や太陽光発電で農場内の電力を賄っていることや電気自動車を使用していることを紹介。地域にあった多様性を理解し受け入れ,適正規模での運営することの重要性を説き,自分たちが楽しいと持続可能になると話した。農業の仕事は食べるところまで続くとし,生産者と消費者という分け方でなく,互いに支え合う関係づくりが大切と話し,地域協働のイベントや里山を守る活動,学生や子供,農業研修生の受け入れ,WWOOFのホスト農場として海外とのつながりなどネットワークづくりの取り組みを紹介し,人のつながりと支え合うことの大切さ示した。



質疑応答&ディスカッション

テーマ:自然環境とビジネス化

論点1:自然と共存する持続可能なビジネスとは?
論点2:環境に対する価値をどのように消費者と共有するのか?

塾生から講義への質疑・討論がおこなわれ,農場飼料のペレット化やヤギの活用について,JAS認証の取得や就労・人件費について,ネットワークづくり,里山の森林についてや有機農法についてなど様々な質疑応答があり意見や情報の交換がなされた。橋本氏は「一人で全部のことをやろうとしなくても,誰かに任して,いろいろな職種の人と連携する方が豊かになれる。ネットワークを拡げるといろいろな可能性が拡がって楽しくなる」と話し,持続可能なビジネス活動にはネットワークづくりが重要なキーワードであると塾生へ伝えた。