コミュニティビジネス育成企業化論①

2014年03月06日
魚津三太郎塾第3期8日目
コミュニティビジネス育成起業化論①
開催日時:平成26年3月6日(木)14:00~17:00
場所:魚津市役所大会議室

コミュニティビジネス育成起業化論として青森県中小企業団体中央会の古川博志氏を招き,農商工連携による6次産業を創造し,かかえる地域課題をビジネスで解決していく取り組みについて紹介いただき,地域の財産を活かした産業創造事例を学び,魚津での産業創造やコミュニティビジネス起業について考えた。

8日目第12限 

講義&討論 コミュニティビジネス育成起業化論①

6次産業創造
~地域課題をビジネスで解決~
講師:青森県中小企業団体中央会 連携推進部連携支援2課 古川博志氏
宇奈月温泉で描いた低炭素社会への夢

古川氏の自己紹介と青森県中小企業団体中央会,青森の地域概況から講義が始まり,目に見えて不況になってくいる中でフリーペーパー設立に関わり,景気が悪くても成功例はあるという体験や,不況下で地場産業の零細企業の共同受注体制を確立,販路開拓を図って世界から受注を伸ばした「磨き屋シンジケート」の仕掛け人,燕商工会議所の高野雅哉氏の影響と憧れが現在の活動の根底にあることを話した。古川氏がこれまで携わってきた地域課題をビジネスで解決し6次産業創造を図った3つの事業について産業創造までの経緯や成果,課題や展望などを紹介。

「青森の黒にんにく」の事例では,当時全国流通の約75%をしめた青森特産のにんにくの端境期の活用という命題からスタートし,発酵黒にんにくの抗癌作用の新聞報道をきっかけに黒にんにく生産に向けて動き出した経緯を紹介。メーカー打診から研究,生産までの様子や県内で黒にんにく製造が拡がって共通の課題を克服することで産地形成を目指し黒にんにく委員会をスタートさせ,黒にんにくの商品化やイベントPRに取り組み新たな消費拡大と販路拡大に繋げ,ブランド化をすすめ,青森から日本全国,海外へと販路を拡げていった状況を説明した。

「あおもり正直村」の事例では1社だけでは不可能だった零細企業連携の販路開発について紹介。「あおもり正直村」は青森県産の素材で食品づくりを行う職人たちの集まりというコンセプトで,食品を共通パッケージで商品群として販売ブース・スペースを得て販売するスタイルで取り組みブランド化を図るまでの出会いやきっかけ,企画までの経緯や展開を説明し順調に拡大していった様子を紹介。
東日本大震災の影響での変化について,物流の麻痺により県産原料食品の重要性が注目されたこと,物流復帰までと回復後の状況やブース復活が困難となった背景など話された。古川氏は「零細企業が単独で突破できない販路では正直村のブース作戦のような手法は有効で,同業ではなく隣の異業種と連携することに活路がある」と話した。

「あおもり藍」の事例紹介では,青森の耕作放棄地を藍畑にしたいというあおもり藍産業協同組合の設立から産業化までの研究や経緯を説明。JAXAコンペからスペースシャトル搭載品採用,宇宙進出の話題性から引き合いが増え,一流ブランドとのコラボなど受注を増やし,平成24年地域資源活用事業計画に認定され事業の方向性を協議する場に定期的に様々な方が参加したことや,藍の作付けも増加し耕作放棄地解消へつなげられたこと,百貨店からの提案を受けたニューヨークでの展開や今後の展望など紹介した。

古川氏は塾生たちへ向け「諦めずに次の一手を考えることで夢は叶う。みんなの夢に自分の夢を重ね,自分の子供らが都会へ行かなくても済むように地域に雇用の受け皿をつくることは一生懸命やればできるかもしれない」と伝えた。

質疑応答&ディスカッション

テーマ:地域産業のこれから

論点1:黒にんにく(6次化)が地域にもたらしたもの
論点2:商品の集積(あおもり正直村)がもたらしたもの
論点3:地域産業(商品)のブランド化に必要な視点
論点4:このような産業創造にあなたはどう関われますか

今回の講義を受け講師と質疑応答や意見交換がおこなわれた。黒にんにく栽培・生産の成功についての問いには,一人で考えずにみんなで考え,現場へ出向き現場の声を聞くことが大切だったとし,元々青森がにんにく産地として根付き,販路も既にあったため付加価値をつけても成功したと話した。また,仕事の姿勢について経営者から頼まれたことは断らず早く処理することで信頼関係が築け,本音が聞けるようになり相談されるようになると答えた。他にも各塾生から感想や質問がなされ意見や情報の交換がなされた。