地域再生システム論①

2014年02月18日
魚津三太郎塾第3期7日目
地域再生システム論
開催日時:平成26年2月18日(火)14:00~17:00
場所:魚津市役所第5・6会議室

魚津三太郎塾第3期の7日目が開講。地域再生システム論として富山国際大学上坂博亨教授から「でんき宇奈月プロジェクト」について講義を受け,環境と地域活性化を結びつけた事例を学び,地域の活性化に地域の企業がどのように共生し関わりを持っていけるのかを考えた。

7日目第11限

講義&討論 地域再生システム論①

でんき宇奈月プロジェクト
~宇奈月温泉で描いた低炭素社会への夢~
講師:富山国際大学現代社会学部 教授 上坂博亨氏
宇奈月温泉で描いた低炭素社会への夢

自然再生エネルギーによる低炭素型社会実現をキーワードにし,黒部市宇奈月温泉をフィールドとした地域活性化事業「でんき宇奈月プロジェクト」の経緯や概要・背景や展望について紹介。同事業は,宇奈月温泉の宿泊者数の減少や地域の様々な問題の解決策として電気自動車を活用したクリーンなまちづくりと小電力発電によるエネルギ-自給をめざして地域観光の活性化を図るため2009年にスタート。プロジェクト発足のきっかけから組織構成の概要を説明。プロジェクト最初の活動となった電気自動車の先進地で宇奈月温泉と共通する立地環境で観光地として成功しているスイス・ツェルマットの視察について紹介。村内でのEV(ElectricVehicle)の運行状況,村内でEV製作と修理をおこなっていることなど写真を交え紹介。現地のアテンドから視察メンバーへの根本的な質問に誰も答えられなかったエピソードを話し,未来像を明確にイメージして共有することの重要性と個人の目標をイメージ化して全体の中で適合させることの必要性を示した。また,先進地の視察をおこなったことで事業の具体的活動イメージがはっきりさせることができ,問題にぶつかった時もシェルマットならどうするかを考えることで,アイデアの発想を早くできるようになったと話した。

宇奈月温泉での事例紹介として,平成22年4月から開始したプロジェクトについてオープニングセレモニーの様子から電気自動車・電気アシスト自転車・電動カートレンタル事業,小水力発電などを紹介。電気の自給自足を目指した小水力発電試験に向けた調査,データの収集や実験事業をはじめ,バッテリー着脱式電気自動車の開発やメディアと連携した情報発信や小中高生の小水力発電体験などの啓蒙活動も紹介した。また,エリア内の自動車速度を時速30Km制限することで歩行者と車が共存できるとし,30kmゾーン設定で歩行者数の増加し,事故件数や騒音・CO2放出量などが減少といった効果を示し,時速20kmでは歩行者優勢になるとし,狭い観光地や商店街でのローカルモビリティーを説明。観光地に求められる公共交通の機能について,歩行者と共存できるサイズとデザインで歩行者スケールの移動速度でのどこでも乗れて降りられる水平エスカレータであると話し,宇奈月で日本初初導入したEVバス(EMU)を紹介し,実証運行について説明した。

自然エネルギーを活用した再生可能エネルギーとして地熱資源開発につて説明。地熱発電や地中熱ヒートポンプの仕組み,黒部の地熱エネルギー採取実証実験についてなど紹介。視察してきたアイスランドの地熱利用について,発電だけでなく暖房や温室・養殖など様々な活用状況を紹介,日本も世界有数の地熱資源量があり活用を図るべきと話した。地域資源を利用することは,地域が潤うと同時に,化石燃料に依存しない社会システムが導入と地域が主体的に地域資源のマネージメントを行えるという意味があると説明。従来型の「公」「私」の二元論だけでなく「共」による地域資源管理をが必要とし,地域住民レベルでの資源保全の有効な手法や新しい地域共同体のあり方を考えていかなければならないと話した。

質疑応答&ディスカッション

テーマ:これからの地域のあり方

論点1:宇奈月プロジェクトの面白さは如何に?その目指しているもの・それによる影響
論点2:地域住民・企業の視点から見た”再生可能エネルギー”とは


今回の講義を受け質疑応答と塾生間でディスカッションがおこなわれた。ツェルマットと宇奈月の取り組みの違いや住民のコモンセンスについてや,エネルギーシフトについて,小水力発電や木質バイオマスも含めた低炭素社会実現へ向けた取り組み,エネルギー問題と水循環の関わりについてなど話し合われた。上坂教授は「魚津は何の街なのかを言葉にするとイメージが出てくる。実際にどのようにキャラクターライズするかは歴史を勉強すると活路が開ける」と話し,ヒアリング方法などを紹介した。

講義終了後に本塾の協力支援団体の新世紀産業機構の荒川保則氏から共同研究開発等に対する支援事業説明会の案内た各種支援サポートや機構の活用についての説明がおこなわれた。