魚津三太郎塾第3期開講式 Report

2013年11月28日
魚津三太郎塾第3期
魚津三太郎塾第3期開講式
日時:平成25年11月28日(木)15:00~17:30
会場:魚津市役所 大会議室

富山大学と魚津市の共同主催による,魚津の将来を担う企業人・地域リーダーの育成を目的とした「魚津三太郎塾」の第3期開講式が行われ,「魚津の水循環を守り・育み・活用による地域と企業の繁栄を目指して」をテーマにビジネスプランや地域プロジェクト創造を目標に来年7月までの講義がスタートした。

開講式には塾生の他、主催の富山大学,魚津市関係者,協力金融機関各行と後援機関各団体関係者、マスコミ関係者ら約60名が参加した。

開会

開会にあたり主催者を代表して魚津三太郎塾塾長・魚津市長澤崎義敬氏が「魚津の独特な地形がもたらす豊かな自然や様々な産業といった地域資源を活かした地域活性化を図るのが最も大きな課題。魚津の水循環を守り・育み・活用する取り組みを進めるとともに,魚津三太郎塾で将来の魚津企業人を育成している。地域産業の生き残りに重要なのは地域の企業人材の育成である。1期2期生からは新しい事業がスタートしている。今後市としても全面的にサポートしていく」と挨拶。

富山大学学長 遠藤俊郎氏から「若い力で新しい事を学び,新しい発想で地元にあるもの見つけ,感じ,考え,学び,行動していってください。魚津市に新しいものが生まれることが大切です。一緒にやる事の楽しさを知って更なる発展を遂げてください」と挨拶した。

魚津三太郎塾第3期

第1限

オリエンテーション

魚津三太郎塾とは~事業概要と目標~
説明:魚津市企画政策課地域資源推進班 前田久則

魚津三太郎塾第3期開講にあたり,塾の開塾までの背景や開講の目的を説明。魚津市と富山大学との共同主催で地域金融機関の協力と関係機関やメディア等と連携して,魚津の将来を担う企業人・地域リーダーの育成を目的とし,自ら考え行動する人材の育成を目標にしたディスカッション中心のカリキュラムで実施。産官学金が連携した学びの場として位置づけ,塾生一人ひとりが魚津の地域課題と企業の営利活動の共通項を探し出し実行する地域プロジェクトの創造が目標と説明。

その目標達成のための手段のポイントとして魚津の地域資源である水循環をテーマにし,「水循環」を守り・育み・活用するという環境と経済を両立させたビジネス手法による地域課題を解決させ地域活性化へつなげる塾の概要を話し,協力金融機関・後援団体名を紹介。1期2期生の修了後の状況について紹介し,事業化された事案について新聞記事等も交え,本塾で提案された事業実行の成果や地域での活動について話した。

1期2期の成果を踏まえ、今後の提案事業の実行率向上のために個別支援とサポート体制の充実、更なる事業育成支援のためのプロジェクト全体の見直しを図り,事業のレベルアップに向け修了生対象としたゼミ(中級コース)の新設予定についても説明した。

これから始動する第3期カリキュラムについての講義概要とスケジュールを案内し,事業化へ向けた具体的支援を紹介,本塾のテーマ「魚津の水循環」と4つのキーワード「環境ビジネス」「社会的課題」「地域的課題」「価値の創造」を念頭に,何をすれば自分の企業が生き残れるか,自社の強み,自身の特技はなにか,自社のある地域のことを知ることを常に意識して講義やディスカッションに臨むようアドバイス。オリエンテーション終了後,10名の第3期生が一人ひとり自己紹介をおこない,企業と事業内容の紹介と塾参加の動機や抱負を話した。

第2限

修了生 事業経過報告

2期生 (株)石崎蒲鉾 石崎一成氏
1期生 (株)ハマオカ海の幸 朝野愛子氏

本塾で事業提案され事業化された2事業について紹介。

石崎蒲鉾の石崎氏は,生き残る為に自社の強みを見直し,土壌循環系と海洋循環系を蒲鉾で橋渡しした新商品蒲鉾の事業について説明紹介。新しい食べ方の提案や安心とエコロジーのアピールで活路を見出し新事業へつなげたことを話した。

ハマオカ海の幸の朝野氏は事業化した「エコな寒の汐ぶり」の進捗状況について説明。商品の背景から開発・商品販売までの状況を紹介説明した。大学や研究所の知を活用した味覚の数値化による商品の差別化ができたことや本塾を通じた人間関係の横のつながりが広がったことなどを話し、新塾生たちへエールをおくった。


魚津三太郎塾第3期

第3限

座談会

~人材育成システムとしての魚津三太郎塾~
パネリスト:澤崎魚津市長,遠藤富山大学学長,第3期塾生,修了生,協力関係者
プレゼンター:富山大学地域連携推進機構教授 金岡省吾

人材育成システムとしての魚津三太郎塾の方向性について座談会が開かれ,参加者の意見が交換が交わされた。

金岡教授「地域課題解決をビジネスで解決させプロジェクト育成させる三太郎塾のモデルは他地域でも注目され,県外大学や団体への講演や問合せが増えている。人材育成システムとして今後の期待が高まっている」

石崎氏「塾生になる前までは自分が魚津のことに無知だった。魚津の凄さを知ることでヒントになり,素晴らしさを理解してもらうことがビジネスに繋がった。塾には悩んでも助けてくれる仲間がいて楽しかった」

朝野氏「魚津を知らない人に魚津を伝えるのが難しかった。水循環を背景に発生する商品がただ魚津の美味しい物というだけではなく商品のストーリーが必要。考えることが苦労だった。点を面にしていくための1歩が魚津三太郎塾だった」

澤崎市長「地域では何気ないモノでも他所では全く知られていないモノが多くある。魚津の様々な地域資源から自分たちの生活に結びつくモノを考えて,未来ある若い人がオール魚津を発信し,魚津を元気にしていってください」

遠藤学長「1期,2期,3期と経験が積みあがってきている。第3期には特色ある新しい発展を期待する。新しく自分たちが創ったものを考えてみてください。大学はそれをサポートしていきます。大学の知を活用してください」

金融機関「地域の元気な方とであう場が魚津三太郎塾。補助金ありきの事業ではなく,きっちり足元を見た事業計画を目指してください。金融機関が持つ引き出しやネットワークを活用してビジネス成功へつなげて欲しい」


協力機関(50音順)

富山銀行 富山第一銀行 にいかわ信用金庫 北陸銀行 北國銀行

後援機関

魚津商工会議所 中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局 富山県新世紀産業機構 富山県中小企業団体中央会 (株)新川インフォメーションセンター 北陸職業能力開発大学校 学校法人荒井学園

質疑応答&ディスカッション

テーマ:これからの地域のあり方

論点1:宇奈月プロジェクトの面白さは如何に?その目指しているもの・それによる影響
論点2:地域住民・企業の視点から見た”再生可能エネルギー”とは


今回の講義を受け質疑応答と塾生間でディスカッションがおこなわれた。ツェルマットと宇奈月の取り組みの違いや住民のコモンセンスについてや,エネルギーシフトについて,小水力発電や木質バイオマスも含めた低炭素社会実現へ向けた取り組み,エネルギー問題と水循環の関わりについてなど話し合われた。上坂教授は「魚津は何の街なのかを言葉にするとイメージが出てくる。実際にどのようにキャラクターライズするかは歴史を勉強すると活路が開ける」と話し,ヒアリング方法などを紹介した。

講義終了後に本塾の協力支援団体の新世紀産業機構の荒川保則氏から共同研究開発等に対する支援事業説明会の案内た各種支援サポートや機構の活用についての説明がおこなわれた。