高低差4000環境論 Report

2013年12月25日
魚津三太郎塾第3期3日目
高低差4000環境論1
開催日時:平成25年12月25日(木)14:00~17:00場所:魚津市役所第1会議室

魚津三太郎塾第3期の3日目が開講。高低差4000環境論として魚津の自然環境について“さかな”と水循環の観点から学び,魚津の水循環の魅力やその中での企業の立ち位置を考え,今後の事業計画へのヒントを探った。

3日目第7限

講義&討論 高低差4000環境論1

水循環とさかなたち~森・里・海と魚~ 講師:魚津水族館 館長 稲村修氏
高低差4000環境論

富山は標高約3000m級の北アルプス立山連峰から水深約1000mの富山湾を有する高低差4000mの世界でも希有な地形環境を持っている。なかでも魚津は劒岳・毛勝山・猫又山といった高い山々から流れる片貝川・早月川・角川といった急流河川が富山湾に注ぎ込むため魚津の海は急に深い地形となり高低差の大きい多様な自然環境を享受している。

富山湾のある日本海は外洋との海峡部が浅い地形的特徴について説明し,沿岸表層水,対馬暖流水等について,日本海の表層水や水深300m以下となる清浄で冷たく栄養豊かな深層水,低層水について解説した。日本海は世界の海洋環境の縮図でありその中心の富山湾,特に魚津で水の循環を考えることは大切とし「川・海」「山・森」「空気」の魚津の水循環について説明した。

富山には多様なさかなが生息していると話し,魚津での水循環の一角を占める川と海に生息する“さかな”を河川上流から深海域まで順次紹介。魚津の河川は急流なので上流域と中流域しかないのが特徴と自然環境を解説。生息する淡水魚を上流域のイワナ・ヤマメからマス・鮎・カジカ類などを様々なエピソードを交えて紹介し生物の違いには理由があると話した。サケを例に魚の物質循環についても説明し「川・海」と「山・森」の繋がりを話した。また早月川上流のダム排水や人工環境の影響についても説明した。

富山湾は自然海岸が少なくなり昔と比べ沿岸生態系に変化があったことを紹介。富山湾の表層に生息するシロギス,イワシやトビウオ,サヨリなどから移行層水域のイシダイ,クロダイ,マダイ,ブリなど様々な魚や,水深100mから200mに生息するホッケやスケトウダラ,ガンコなどや,日本海固有水の深層域で生息するクロゲンゲ・ノロゲンゲ,紅ズワイガニやバイ類,ホッコクアカエビなど富山湾に生息するバラエティ豊かな魚を生態や料理法などのエピソードを交えて紹介解説した。

また,魚津発祥の紅ズワイガニのカゴ漁についてや唯一富山湾でしか群生していないオオグチホヤの生態についても紹介。また,平成8年に県が制定した富山県のさかな「富山湾の王者ブリ」「富山湾の神秘ホタルイカ」「富山湾の宝石シロエビ」の3種だけでなく,新富山県のさかなとして「ウマヅラハギ」「ゲンゲ」「バイ」「ナンダ」も加えることを提案した。



討議

魚津の水循環の魅力・企業の立ち位置

世界の縮図である魚津の水循環と塾生の関わりについて稲村講師より「水循環が無かったらどうなるかを考えると価値がわかる。水循環との繋がりを自分で調べ,自分で考え,自分の言葉で表現していってください」とアドバイス。今回の講義での質疑や「魚津の水循環」の魅力,今後の行方についてや企業の技術力・経営資源を生かし水循環とどのように関わり何をするべきかを論点に塾生間で討議が行われた。

討議では魚津の魚についての話題を中心に議論を交わした他,高低差4000mのうちの深海1000mの循環についての質問もあり,表層部での短時間での循環とは異なる深海部の長い時間での循環について説明を受けた。魚津でしかとれない魚やブランド化についての現状や課題,付加価値についても討議された。金岡教授からは「水循環の魅力を知ることで魚津に自信が持てるようになる。各々の必要性を考えるきっかけになる」と話し,今後の講義を通じての塾生たちの課題克服への期待を示した。

事後連絡

講義・演習に対しての予習復習についての希望と事業構想の整理に活用できる演習シートの作成について事務局より説明があった。