たかおか共創ビジネス研究所  概要 目標と計画

高岡市富山大学

7・8限(200分)  地域づくり最前線②

2014年03月18日
たかおか共創ビジネス研究所
4日目第7・8限講義&討議
基礎講義 地域再生論
日時:平成26年3月18日(火)15:30~19:00
会場:高岡市役所8階803会議室

たかおか共創ビジネス研究所の4日目は,地域づくりの最前線の話題として,環境と地域活性化を結びつけた黒部市宇奈月における再生エネルギー活用による地域づくりの取り組みをヒアリング。地域の活性化に地域の企業がどのように共生し関わりを持っていけるのか,地域課題解決と企業経営の関係を考察し,企業と社会の新たな関係から今後のビジネスモデルとなるヒントを学んだ。

5・5限 基礎講義 地域再生論

第7・8限

講義 地域再生論

地域づくり最前線②
地域課題解決と企業経営
~企業と社会の新たな関係構築~
講師:大高建設(株) 代表取締役社長 大橋聡司氏

自然再生エネルギーによる低炭素型社会実現をキーワードにした地域活性化事業「でんき宇奈月プロジェクト」の中枢人物の一人である大橋氏から企業人として地域活性化への取り組みや現在県内で進められている環境ビジネスについてヒアリング。大橋氏が代表を務める大高建設について紹介があり,経営ビジョンや経営目標・戦略を示し、地域や業界でのポジションや姿勢を説明。企業の新規事業への進出について本業への貢献・社会への貢献・事業の拡大・成長の見込みをあげ,さらにリスクの小さな事業であることであると自社の原則を紹介し,アライアンスを組むことでリスク分散できるとしFC事業を検討し飲食店経営へ進出。初出店の失敗の経験・検証から収益性を重視した事業計画で新展開し事業拡張していることを説明。人財育成のための教育が重要で,「存在に感謝し,その感謝の上に自己実現が成り立つ。全てに感謝の心を持ち、常に謙虚で,向上心を持つ」という自社のスピリッツを紹介した。また,地ビールで地域活性かに貢献している宇奈月ビールの現状も紹介され,背景や特徴,取り組みなどを紹介。地元で生産されるビール原料の二条大麦の過剰分の消費と麦芽製造施設の活用という課題のために開発した「モルト麦茶」が全国から反響があることなどを話した。

宇奈月温泉で自然エネルギーとEVバスによる公共交通事業を導入し,先進的なエコ温泉リゾートとしての観光客誘致とエネルギーの地産地消による地域活性化を目指した「でんき宇奈月プロジェクト」の経緯や概要・背景や展望について説明。先進地スイス・シェルマットでの視察やまちづくりに向けた地域理解促進のための講演会やワークショップやイベントなどプロジェクト開始までの経緯を話し,平成22年4月から開始したプロジェクトについてオープニングセレモニーの様子から電気自動車・電気アシスト自転車・電動カートレンタル事業,小水力発電などを紹介。電気の自給自足を目指した小水力発電試験に向けた調査,データの収集や実験事業をはじめ,バッテリー着脱式電気自動車の開発やEVバスの開発について紹介。スイスにおけるスローモビリティゾーンの考え方から交通とビジネスを共存させるコンセプトとして中心街での速度制限と公共交通の機能について説明。エリア内の自動車速度を時速30Km制限することで歩行者と車が共存でき,歩行者数の増加・事故件数や騒音・CO2放出量などが減少といった効果があり,時速20kmでは歩行者が優勢となると,狭い観光地や商店街でのローカルモビリティーを説明した。また,プロジェクトの展開や拡がり・波及を紹介し,地域資源と地域エネルギー開発・EVバス運用などを担う企業設立や自然エネルギーを活用した再生可能エネルギーとして地熱資源開発の企業設立につて説明。設立した会社や地熱発電や地中熱ヒートポンプの仕組み,黒部の地熱エネルギー採取実証実験についてなど紹介。視察してきたアイスランドの地熱利用について,発電だけでなく暖房や温室・養殖など様々に活用している状況や,国内先駆の北海道でもトマト栽培に活用している事例を紹介し,地熱発電事業と熱利用事業の地域社会にもたらす社会的・経済的効果を説明,「コミュニティビジネスでは価値を最大化して地域へつなげることが大切」と話した。さらに,包蔵水力が圧倒的に多い富山県での小水力発電についても説明し,将来の自然エネルギーパーク構想や地域のスマートコミュニティ構想を示し,様々なビジネスチャンスがあることを話した。


質疑応答&討議

テーマ:企業と社会の新たな関係
論点1:地域との目標共有化と企業のあり方
論点2:地域課題解決と企業経営

講義への質疑応答とディスカッションがおこなわれた。研究員からはプロジェクトをスタートするきっかけやスイス視察状況,プロジェクトと地域住民の関係や人の育て方や集め方など様々な質疑応答がなされた。大橋氏は「人は社会的意義や将来への成長を理解し,地域社会にとって必要な事業と認識すれば集まってくる。人は先行投資」と話し,企業・ビジネスにおける「人財」の重要性を強調した。また,「コミュニティビジネスも収益をあげるし組織体質でなければ持続可能な事業にならない」と事業経営の感覚の必要性を示した。高岡の地域資源や目標,地域を巻き込む可能性なども討議された。