たかおか共創ビジネス研究所  概要 目標と計画

高岡市富山大学

19・20限(200分)高岡市の地域課題と活性化ベクトル⑤

2014年07月04日
たかおか共創ビジネス研究所
10日目第19・20限講義&討議
地域課題解決型事業立案演習
日時:平成26年7月4日(金)15:30〜18:30
会場:富山大学高岡キャンパス2階大会議室

たかおか共創ビジネス研究所の10日目は,介護福祉の視点から人口減少・少子高齢化社会での地域包括ケアシステムについて説明を受け,介護保険の概念変化による生活支援市場でのビジネスチャンスの可能性を探った。

第19・20限講義&討議 地域課題解決型事業立案演習

第19・20限

[講義&討議] 

高岡市の地域課題と活性化ベクトル⑤
地域活性化とは何だろう?
地域包括ケア時代の生活支援市場を展望する
講師:三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経済社会政策部社会政策グループ長 主任研究員 岩名礼介氏

日本全国でこれから確実に想定される社会問題である人口減少と少子高齢化という社会環境の中で何ができるのか,介護福祉の視点から地域包括ケア時代の生活支援市場の展望についての講義がおこなわれた。

日本の人口が減少に転じ,老齢人口が2040年あたりまで増え続ける状況を示し,介護者が増えていき高齢者を支える生産者人口が減っていく現実を説明。これからさらに進む高齢化社会での介護の常態化,生活援助ニーズの増大,価値観の多様化から求められる生活支援サービスの多様化や,今後の高齢者の可処分所得も多いことから生活援助・介護サービスへの購買力もあることからこの分野でのビジネスの可能性が高いとし,介護保険制度をめぐる環境や施設・病院への依存状況も示し,住み慣れた地域の中で保健医療福祉の様々な社会サービスを適切に組み合わせ,要介護状態になっても住み慣れた地域で継続的な生活を実現できるようにする地域包括ケアシステムの必要性を説明。地域での生活の基盤をなす「住まいと住まい方」を植木鉢にたとえ、「生活支援・福祉サービス」という土が無いと専門職の提供する「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保険・予防」を植えても十分な力を発揮すること無く枯れてしまうと地域包括ケアシステムの構成要素を説明,さらに当事者本人と家族の選択と心構えが必要と話した。

これからの人口減少・少子高齢化社会では後期高齢者の増加と担い手となる若年減少を前提としたシステムが必要とし,これまでの介護保険中心のビジネス領域では生活支援・福祉サービスまで含めた全国統一基準で居宅介護サービスや介護保険施設を考えていたが,これからの高齢者介護ビジネス領域の考え方は,個別性・地域性の高い生活支援・福祉サービスを多様な主体者により提供し,専門職サービスと住まいや住まい方と連動性をとるスタイルとなり,人的資源確保の面からも現在の介護職が担っている生活支援業務を地域民間業者やボランティア含む多様な主体へ委ねる必要性を示した。

生活支援ビジネスの展開について,ビジネスとしての捉え方や展開方法,可能性について説明。地域資源を広く捉えることで地域再生の可能性があり,地域の商工システムとして介護を考え,10年後に向けて仕組みを作っていくことが大切で,同じ目標に向かって異業種が連携することで新サービスが創られると話した。

討議

テーマ 介護保険の概念変化によるビジネスチャンス
論点1:産学官金連携でビジネスチャンスをどのように開花?
    福祉ビジネスの光と陰(変化,課題,チャンス)
論点2:自社の経営資源を活かしたビジネスチャンスとは
    企業が抱えている地域課題とは
    機能として必要なものは?

本日の講義内容を受けての討議と意見交換がおこなわれ,今回のテーマである介護保険の概念変化によるビジネスチャンスについて活発な議論がなされた。現在の介護ビジネスにおける要介護・要支援者の現状や課題について,地域で支援できる事業や高岡での可能性など討議され,介護・生活支援ビジネスと自社のビジネスのマッチングの可能性や地域包括ケアシステムと地域づくりの考え方についてなど研究所員間で共通認識と理解が図られた。