3・4限 地域を取り巻く環境 新たな地域づくり
2日目第3・4限講義&討議
基礎講義 地域再生論
日時:平成26年2月21日(金)15:30〜19:00
会場:富山大学高岡キャンパスH棟283演習室
たかおか共創ビジネス研究所の2日目が開講。地域再生論として,地域づくりの実践へ向け地域・企業・住民は何を考えるべきかを各地の事例から探り,地域課題解決をビジネスで取組み,高岡の地域活性化プロジェクト創出へ向けての基礎講義がおこなわれた。

第3限
講義 地域再生論
講師:富山大学地域連携推進機構 教授 金岡省吾
前回の地域課題をビジネスで解決し企業繁栄につなげた塩谷建設専務の講義内容を振り返り,本業で地域課題を解決してビジネスにすることがたかおか共創ビジネス研究所の目的であると話し,講義の流れや進め方を説明し,本格的な講義がスタートした。
これまでの富山大学の地域づくり活動などの事例を紹介しながら,県内でも直接的にプロジェクトを動かす人々が育っていることを話し,和歌山県田辺市の秋津野ガルテンや三陸復興プロジェクトでのソーシャルイノベーターの存在を紹介。地域課題をビジネスで解決する「コミュニティビジネス」やその担い手について説明。日本の地域づくりは、全国総合開発計画に基づく人口増加や拡大成長等を基調とした国主導での均衡ある国土発展から,人口減少・少子高齢化,人口分布の変化,地球環境への関心の高まり等の地域づくりを取り巻く環境が変化し,国土形成計画では,開発ではなく,社会的課題を見据えた地域活性化政策,地域資源を活かした地域産業や農山漁村活性化,新たな公,国土の国民的経営による新たな地域づくりへと変化したと説明。地域課題解決への新たな地域経営について,従来の公領域(行政が担う領域)において民間が行う事業事例,行政も民間主体でも担ってこなかった分野である公的価値を含む私領域での事業事例,民間が担う分野での公共的価値を事業にした公と私との中間領域の事例があると解説し,全国各地の様々な事例を紹介。「地域でどんな課題があるのか自分たちで考え,自ら協力者を探し,課題解決へ自らが行動しはじめている」と話した。
動かなかったプロジェクトとして金岡教授が民間シンクタンク時代に携わったスキー場跡地を活用した販路開拓マーケティングの事例を紹介。市場調査の手法や分析手法を示しながら販路開拓の市場参入マニュアル作成の過程を説明し,万全の策を提示しながらも,地域の当事者らの思いの温度差や考えの違いから結果的にプロジェクトは動かなかったと話し,当事者の人々と共に考え創りあげることの大切さを知ったと話した。また,富山の地域づくりをサポートした事例として富山市新富町のまちづくりのケースを紹介。大学への訪問から活動の経緯や動きを話し,共に考え動くことでの人の変化や出会い,活動の輪の拡がりがあったことを説き,富山駅前でのイベントでは協力参加者や支援者,金融機関などの輪が拡大した様子を伝えた。
新幹線開業に対応した地域発信の事例として新青森駅のケースを紹介し,地域企業を中心にした地域物産販売の対応を現地の視察写真を示しながら解説。青森は新幹線開業に対応した売れる仕組みを形成しており,10年前から農水・商工が融合した総合販売戦略課を設け,量販店への売り込み,アンテナショップ運営などを紹介。「ハードだけでなく仕組みが必要。青森には新幹線が来るとモノが売れる仕組みがある」と話し,「地域のチャンスを活かし,地域の経済を循環させてほしい」と説いた。
第4限
質疑応答&討議
※人口減少・少子高齢化時代の地域活性化のあり方は?※新たな地域づくりの主役は?
論点1:地域が活性化している状態とは?新たな公orCSVは実現可能?
論点2:企業は何ができる?どうあるべき?どんな地域づくりをイメージしますか?
今回の講義を受け研究員間で質疑応答とディスカッションがおこなわれた。初めての討議となるため,研究員は冒頭に名前と企業情報や事業内容等自己紹介をおこない,講義を受けての質問や感想,考えや意見を述べた。高岡駅ビルオープンを3月下旬に控えての高岡駅前エリアのリノベーションや新幹線開業へ向けて等,高岡の地域活性・地域再生の実践に向け企業は何を考えるべきかを討議した。地域課題解決のための地域経営を考えた地域づくりとは何かを模索しながら,今後の高岡の活性化とは何かを考え,意見交換をおこない研究員間で情報や地域課題の共有を図った。