たかおか共創ビジネス研究所開講式 1・2限 特別講義
日時:平成26年1月31日(金)14:30〜17:15
会場:富山大学高岡キャンパス大会議室A棟2F
富山大学と高岡市の共同主催により、高岡の将来を担う企業人・地域リーダーの育成を目的とした「たかおか共創ビジネス研究所」の開講式が行われ、平成26年9月までの約8ヶ月間に亘る地域課題解決のためのビジネスモデル創造を目標にした研究所がスタートした。開講式には研究員のほか主催の高岡市、富山大学、協力各金融機関や後援機関等関係者、マスコミ関係者ら約50名が参加した。

開会
開会にあたり主催者を代表して「たかおか共創ビジネス研究所」所長で高岡市長の髙橋正樹氏が「人口減少や少子高齢化の時代を迎え、新幹線開業という地方の大きな変革の時に、研究員の皆さんが学び、良い知恵を出すことで、これからの高岡をリードしていってほしい。」と挨拶。富山大学長の遠藤俊朗氏は「新しい概念やサービスを創り出すことが重要。自分自身のレベルアップだけでなく、周囲の人も巻き込む必要がある。どのような成果を出していくかを“見える化”し、研究員同士コミュニケーションをとりながら努力していってほしい。」と挨拶した。
オリエンテーション
説明:富山大学地域連携推進機構 教授 金岡省吾
「たかおか共創ビジネス研究所」の開講にあたり、金岡教授から本研究所設立の目的や意義、背景等が説明された。取り巻く環境の変化から、大学は地域活性化の中核拠点としての役割を果たしていくべきとし、地域づくりにあたっては、人口減少・少子高齢化等に起因する地域課題を新しい需要に転換し、地域経済の循環を創り出すことが重要であるとした。
高岡の地域課題を掘り下げ、全国の課題解決事例等を検証し、研究員の本業であるビジネスで地域課題を解決することが研究所の目的であり、大学、行政、金融機関、各協力団体が連携してプロジェクトを育成するスキームづくりが重要であると説明した。
研究員自己紹介
研究員が各自1分以内の時間で自己紹介をおこない,企業情報や事業内容,研究所参加の動機や抱負などを話した。
第1限
特別講義
講師:塩谷建設株式会社 専務取締役 塩谷洋平氏
塩谷建設㈱専務取締役の塩谷洋平氏が同社の本業を通しての地域活性化に対する取り組みについて紹介し、建設不況の中で、マンション事業(分譲マンションの建設と販売)に進出した経緯と地域における建設会社としての事業改革について語った。「建設会社として受注したものをただ建てるだけでなく、地場の企業として何をすべきかを考えた」と話し、中心市街地でのマンション建設と併せて、まちなか居住のメリットを提案していくことで、マンションの付加価値を高めるとともに中心市街地活性化という地域課題解決につながった取組みを紹介。地域スポーツの応援や耕作放棄地を利用した「苔の緑化」事業なども紹介し、新しいことに企業として挑戦することで企業内の意識改革が生まれたことを語った。
そして、賑わい創出の起爆剤としてのまちなか居住の推進など、様々な地域課題に対して地元企業として何ができるのかを考え、それを解決することで企業も繁栄させたいと話し、若い人や学生たちに夢を与える企業として、これからもチャレンジしていきたいと語った。

第2限
座談会
パネリスト:高岡市長 髙橋正樹氏,富山大学長 遠藤俊郎氏,塩谷建設(株)専務取締役 塩谷洋平氏
コーディネーター:富山大学地域連携推進機構教授 金岡省吾
塩谷氏:「マンション事業では、本業のハード整備に加え、付加価値としてのソフト整備に注力し、まちなかでのライフスタイルを具体的に提案している。事業を近視眼的に捉えるのではなく、適正なコストやリスクを見積り、あくまでも顧客である居住者の幸せを追求していくことが重要。その上で、社員も幸せにできる収益を上げていく。マンション事業に進出したおかげで、社内の意識改革が進み、設計・施工力も向上した。」
遠藤学長:「半年間で新しいビジネスプランをつくるという魚津三太郎塾の取り組みでは、実際に新しいビジネスが動き、プロジェクトが誕生した。魚津市もサポートしており、魚津モデルが全国で注目されはじめている。産業界の連携の接着剤が大学の役割。大学は今まで以上に外へ出る必要があり、人材をつくるだけでなく、人材がどう社会で活躍するかにまで関わり、サポートしていくことが重要。高岡市のバックグラウンドを活かし、今までのものにプラスして新しいものをつくる。年齢や環境、人によって求めるニーズ、価値観は違うので、既成概念にとらわれない、柔軟な発想が必要。」
市長:「新幹線開業を控え、都市の総合力と求心力を高める施策を展開していくことが重要。高岡ならではの魅力という点では、歴史と文化も地域資源としての重要なファクターである。大学の知的資産を活用し、企業や行政が地域で取り組む実践の理論的な根拠として、フィードバックしていくことが重要。行政としても、なぜ、まちなか居住に取り組むのかといった施策に対する分かりやすいメッセージを出していきたい。」
金岡教授:「大学も行政も目指すところが企業と近くなってきている。研究員に対し、期待することは?」
塩谷氏:「失敗もたくさんしてきた。まず、動いてみることが重要。人と交わり、学び、経験していくことで道は開ける。外部環境等を言い訳にせず、今何ができるかを考えていってほしい。」
遠藤学長:「北陸新幹線が開業するだけで観光客が増えるわけではない。何もしないと何も変わらない。地元高岡の良い資源を活かしてアクションを起こしてほしい。女性の意見を大切にし、女性が住んで楽しい街にする視点も必要かもしれない。」
髙橋市長:「予定調和やバランス等をあまり考えることなくとことん議論を重ね、事業の発展に邁進してほしい。研究員の皆さんのプロジェクトに期待している。」
座談会の最後に、遠藤学長から研究員に「大学に何かを期待するのではなく、大学をパートナーとして現場へ引き込んでいってほしい」と語りかけ、事業の繁栄と地域活性化の両立を目指す「たかおか共創ビジネス研究所」へ熱いエールを送った。
閉会
富山大学理事・副学長の丹羽昇氏が「地域課題を徹底的に掘り下げて、経営ビジョンを明確にしていってほしい。イノベーションは簡単ではない。それを為し得る人材をどう育成するかが課題。この研究所が地域活性化に資する産業人の育成につながっていくことを切に願う。」とまとめ、初日の講義を終えた。
協力機関
高岡信用金庫 富山銀行 富山第一銀行 北陸銀行
後援機関
経済産業省中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局 高岡商工会議所 公益社団法人富山県新世紀産業機構