たかおか共創ビジネス研究所 第2期 事業リポート

たかおか共創ビジネス研究所

2015年6月8日
7日目第13・14限
地域課題解決型事業立案演習
高岡市の地域課題とビジネスチャンス
日時:平成27年6月8日(月)15:00〜18:00
会場:富山大学高岡キャンパス2階大会議室

たかおか共創ビジネス研究所の7日目が開講。特別講義として福岡県福津市津屋崎を拠点にまちおこし活動をしている『津屋崎ブランチ』の取り組みについて同代表の山口覚氏から活動内容や考え方を学びんだ。

2015年06月8日

7日目第13・14限

特別講義 ケーススタディ 「津屋崎ブランチの取り組み」

講師:津屋崎ブランチLLP/Local&Design代表取締役 山口覚氏

福岡県福津市津屋崎を拠点にまちおこし活動をしている『津屋崎ブランチ』の取り組みをケーススタディに,レクチャーと対話形式での特別講義がおこなわれた。研究員は大きな紙とペンが置かれた3つのテーブルに分かれ,話を聞いたらグループで話し合う形で,各自が感じたり思ったことやレクチャーのメモをテーブルの上に引いてある紙にペンで書き込み,互いに共有するスタイルで進められた。

話し合いの方法について,自分と相手の言葉に垣根をもうけないことやダイアログの考え方,ディベートではなく対話をすることを説明し,対話のエチケットとして「未来を語る」「常識にとらわれない」「借りてきた知識に頼らない」「断定しない否定もしない」「答えを急いで出そうとしない」ことをあげ,新しい対話の手法であるホールシステムアプローチについて紹介した。研究員たちは対話実践のスタートとしてグループ毎で自己紹介を行い,最近の様子について話し合った。山口氏は,聞くことに意識を持つことの大切さ,聞き合うことで自分の今までに無い価値観が生まれることを話し,常識と思っていることを疑うことや「発明」という概念について説明し,事例収集して最適化を図るものとは異なるまちづくりの考え方 を示し,直近で考えず長いスパンで考えなければいけないと話した。

なぜ津屋崎に人が集まってくるのか?ハード事業よりソフト事業の必要性を感じ,都会への一方通行であった人口流出に関する問題認識を持ち,30代の子育て世代に移り住んでもらうプロジェクトに取り組んだことや津屋崎の地理的立地や自然環境,産業や施設の状況・鉄道などの廃止地域が抱えている課題や現実について紹介。

津屋崎ブランチは内側から地域を変える取り組みをおこない,移住者が100人さらに100人と増え,鉄道廃止時より700人増加したことを話し,どんな仕掛けがあったのかをグループ毎に対話して考えを発表をさせた。津屋崎ブランチは,新しい価値観による『本当の働き方・暮らし方・つながり』を実現するプロジェクトであったことや新しい暮らしの選択肢を提供したこと,一つの仕事だけで生計を立てるのではなく幾つもの仕事で暮らす複業の考え方について説明。本物の暮らし・仕事・交流を実現する新しい形の地域起こしプロジェクトと話し,取り組みの4つの柱である,移住支援事業「暮らしの旅」,学習交流事業「集いの場」,担い手育成事業「起業支援」,古民家再生事業「文化継承・器づくり」の各事業の具体的な内容や事例などを写真を交えて解説した。

また,プロジェクトを進めるに当たり根底にある哲学の重要性を示し,津屋崎の地域創生の哲学について紹介。人口流入は目的ではなく手段であること,どんな地域をつくるかが先に立つこと,都会では成し得ないけれど人々が欲しいと思っている物を得ること,哲学に人が集まること,喜びを取り戻すことが取り組みの基本にあると説明。さらに,日常のクオリティがあがるまちづくりを考えることが大切であると話し,新しい暮らし,働き方,人のつながりを示すことが大切であると説明。

これまでのレクチャーを聞いて思ったことを各グループで対話を行い,発表を行った。発表された意見や感想に応える形でレクチャーを続け,Webとファシリテーションの力は最優先のスキルであることや当たり前のことを当たり前に出来るまちにすること,平凡なことでも100年前の人や100年後の人,他の国の人に話しても良いことと言われる事を指標において活動していることなど話し,津屋崎の各事業の成功は「みんながこのマチをどうしたいのかを共有しているから」であるとまとめた。

最後に各テーブル毎に今日一日で何を感じたのかを対話し,各自が発表した。山口氏は結びに「地方同士が手をつなぐことで都会を凌駕するモノができる」と話し本日の特別講義は終了した。