たかおか共創ビジネス研究所 第2期 事業リポート

たかおか共創ビジネス研究所

2015年4月27日
4日目第7・8限講義&討議
基礎講義 地域づくり最前線②
地域課題解決と企業経営
日時:平成27年4月27日(月)15:00〜18:00
会場:高岡市役所8階803会議室

建設会社として高岡の地域課題と向き合い企業経営をおこなっている塩谷建設の取り組みや企業理念から企業と社会の新たな関係のあり方を学び,本業を通じての地域活性化とは何なのかを考え,企業経営の観点から高岡の様々な地域課題解決と地域づくりを自社のビジネスとして展開するためのヒントを掴んだ。

日目第5・6限講義&討議

4日目第7・8限講義&討議

特別講義

本業を通じての地域活性化
講師:塩谷建設株式会社 専務取締役 塩谷洋平氏

地域課題の解決と企業経営についてや本業を通じての地域活性化の取り組みや考え方について,昨年創業60周年を迎えた地元企業である塩谷建設の取り組みや背景,経営的観点からの考え方などを特別講義として塩谷専務から話しを伺った。

自己紹介で建設不況の厳しい状況の中であえて家業へ入社した動機と過程を話した。塩谷建設の学生向けの就職案内を紹介し,毎年若い学生が訪れる会社にしたいと挑戦する姿勢を大切にしていることや会社の成長には個々の社員の成長することが必要で,年齢に関係なくやる気・元気・勇気がある人になって欲しいこと,社員の個性を評価していくこと話し,創業者で祖父である塩谷孝一氏の言葉「夢づくりによる人づくり」を紹介し,企業における人材の重要性と社員と向き合う時間を大切にしていく姿勢を説明した。

また、塩谷建設の関連会社であるパルコン富山の取り組み,塩谷カルチャーセンターでの書道教室などのカルチャー教室や住民交流の場として活用している取り組み、塩谷建設の仕事内容について説明紹介。高岡大仏の移動工事,最先端のウォータージェット工法での工事を紹介。建設会社は困ったことを解決することが仕事と話し,地域の除雪作業なども仕事と紹介。まちなかマンション建設販売の事業について,リーマンショック後の危機感のなさが進歩に欠けたとし,請負で建設した市内のマンション工事で経験した元請の倒産や販売管理会社の倒産で自社での販売余儀なくされたことで,請負のリスクを感じたこと。全国の分譲マンションを見て勉強し,高岡の将来を考えて自分が何をできるのかを考え,自社購入の土地に自社でマンションを建てることに取り組み,雪国の人に優しいマンションにしたいとスロープやエントランスの工夫など地域や利用者に合わせた設計がすべて自社で完結できるので可能となったと説明。

さらに,販売チラシの見直しを行い,近隣の魅力を書いた手づくりチラシでココに住むとどんな生活ができるのかイメージさせることで売上げが上がったことを紹介した。また,「まちなか居住」高岡市の補助金についてや,駅前の付加価値やソフト面の工夫についての話題にも触れた。塩谷氏は「言われてモノを建てるのではなく、前後でおきる課題を解決することが大事」と話し,環境事業の分野へ挑戦しており,新規事業に取り組むことでの社員の意識の変化について紹介,苔事業について説明。屋上緑化の中で苔緑化に取り組み,自社で山間地の耕作放棄地を活用して栽培していること,同事業が土地の有効活用として緑地スペースを屋上に確保することで企業の課題解決に役立っていることなど事情を含め施行写真を紹介しながら施工例や内装への活用例などを示した。

また,「ただ造り続ける建設会社に疑問を感じ,地元の建設会社として何が出来るのか、何をするべきか?を考えるようになった」と話し,自社建設ビルのリノベーションにも取り組んでいると話し,まちなかの古い塩谷ビルの活用をまちっこプロジェクトに相談して5月末からワークショップをやり進めて行くことを話した。さらに,柔道というスポーツを通じて地元に貢献していることを紹介し「ひとにいいこと まちにいいこと」建設会社として問題を解決出来る会社にしていきたい」と話し,塩谷建設が学生就職企業説明会で人気があるのは「地元で魅力ある企業・挑戦している企業だから」とし,「挑戦することは企業としてやっていくべきである。自分の企業を思う人、高岡を思う人が集まると地域は変わっていく」と説いた。

座談会&ディスカッション

テーマ:企業と社会の新たな関係
・講義の感想 印象に残ったことは?キーワードは?自社もしくは構想の展開の参考になったことは?
・塩谷さんへの質問
〈論点①〉 目標共有化と地域に必要とされる企業とは
〈論点②〉 地域課題解決と企業経営 企業と社会の新たな関係とは

特別講義を受けての講師への質問やを感想を交えた座談会形式のディスカッションがおこなわれ,研究員から企業経営についてや社会課題の解決,事業の現況や展望について,まちなかマンションや苔事業について,まちなか居住についてなど質疑や意見交換がなされた。

地域課題解決および企業経営について塩谷氏は,その事業で企業が成り立たないとダメと話し,まちづくりに関し,住む人が良いと思える場所にして住民を増加させることが必要で,住む人が近くの商店が便利と感じることで,そこで商売をやりたい人も増えてくると話した。また、人がつながっていくことの大切さをあげ,高岡に住んでいる人が積極的に動くことが重要と話した。

討議の後半では,講義の中に事例としてあがったリノベーションを考えている塩谷ビルを話題にディスカッションし,ビルの活用法のアイディアや同様の案件で事例など様々な発言があり,同一案件に対して研究員全員で討議と意見交換がおこなわれた。