たかおか共創ビジネス研究所 第2期 事業リポート

3日目第5・6限講義&討議

2015年04月13日
基礎講義 地域づくり最前線① 概論・新たな地域づくり
日時:平成27年4月13日(月)15:00〜18:00
会場:高岡市役所8階803会議室

日本の地域づくりの考え方の変化を学び,各地の事例からケースステディとして再価値化による地域活性や元気な商店街の取り組みから地域再生の実践に向けて地域企業・住民,企業は何を考えるべきかを探り,高岡市でも顕在化している人口減少・少子高齢化など様々な変化に伴う地域課題解決と地域づくりをビジネスとしてどのように展開すべきかを考えた。

日目第5・6限講義&討議

前回までの振り返り・意見交換

説明:たかおか共創ビジネス研究所事務局 高岡市都市経営課主幹 日名田尚明氏

前回2日目の講義の振り返りをおこない,学んだ内容・キーワードなど確認した。また,本研究所コンセプトの再確認をおこない,研究生から出された意見や研究生の構想するアイディアや事業構想に対しての考えを考慮した,今後の進め方やカリキュラムの紹介をおこなった。

3日目第5・6限講義&討議

基礎講義

地域再生論・地域活性化論
最近の気になるまちづくり
講師:富山大学地域連携推進機構 教授
    大学院芸術文化学研究科 専任教員
         芸術文化学部 兼担教員   金岡省吾氏

日本の地域づくり・国土計画は,全国総合開発計画に基づく国主導の「国土の均衡ある発展」を目標に進められてきたが、環境や価値観の変化に伴い地域づくりのコンセプトが変化。人口減少がもたらす地域への影響として限界集落や消滅市町村などの問題や過疎地ばかりでなく中心都市でも同様な課題が生じ,市場原理でできないことをどうやってやるのかが課題となってきた。

従来とは異なる方法での地域活性化の必要が求められ,新たな地域づくりとして国土形成計画に基づき開発だけでない社会的課題を見据えた地域活性化政策,地域資源を活かした地域産業や農山漁村活性化,多様な主体の参画や新たな公,国土の国民的経営による地域づくりへと変化していると説明。課題解決への新たな地域経営が地域再生,地域リノベーション,地方創生へとつながるとし,新たな地域経営の事例として行政が担う分野を民間が主体となり担う「従来の公領域」,行政も民間主体も担ってこなかった分野や時代の変化で新需要として生まれた「公的価値を含む私の領域」,民間が担う活動分野で公共的価値がある「公的価値を含む私の領域」について説明。

事例として,親が協働で幼児教育・保育システムを構築した北海道恵那市の「恵庭型プレイセンター」や過疎交通を公共交通でひとつにした石川県珠洲市の事例,和歌山県田辺市の世界的観光地での外国人向けエリアツーリズムエージェンシーや広島県の川根振興協議会の過疎地での地域経営の事例を紹介し,地域の経済を循環させることの必要性を講じた。また,国土交通省の地域づくり活動支援体制整備事業や国土地域の担い手づくり,未来型小さな拠点の形成や,日本版CCRC構想の基本コンセプト案について説明。人口減少・少子高齢化など様々な変化が顕在化した今、明日の地域づくりをどのように展開すべきか,地域再生の実戦に向け,地域企業・住民,企業は何を考えるべきかという本日の講義の狙いを示した。

ケーススタディ①

再価値化による地域活性
〜建築家とソフト設計,ワークショップ,地域ニーズ=地域課題解決〜

再価値化による地域活性を進めたケーススタディとして,長野県塩尻市の市民交流施設整備と協働型まちづくりの事例を基に考察。中心商店街の抱える課題やその背景を示し,中心市街地の活性化・商店街活性化が地域づくり、地域活性化の軸となることを論じ,塩尻市での図書館の新たな機能として地域課題でもある子育て支援の要素を取り入れた市民交流センター「えんぱーく」の企画から運営までの経緯を紹介。

協働型まちづくりとして市民ワークショップや講演会を通じニーズ把握し,仕様書作成し,完全公開でのプロポーザル方式での設計業者を選択,地域ニーズを取り入れ設計変更した地域ニーズ優先型施設整備した事例と説明。施設を愛する利用者により新需要を生み出し地域課題解決へ繋げて施設利用者も増加。市民交流センターの波及効果として,施設周辺に総菜,生鮮3品,学習塾・教育,若者需要の店が増えて駅前開発や経済循環への効果がでたと説明。

質疑応答&ディスカッション

テーマ:再価値化による地域活性

旧来型から脱却して再価値化した地域活性の事例としてあげられた塩尻市市民交流センターについて,研究員から子育て以外の施設活用や現状についての質問があり,現地ヒアリングの際の写真を紹介し詳細について説明された。

舞台を高岡市置き換えて同様の課題解決に向け何をするべきか,何が必要なのかをディスカッションし,県内2位の人口の高岡市での子育て・人口減少・高齢者・KPIといった課題をビジネスにすることを考えた。

ケーススタディ②

気になる商店街の取り組み
〜元気な商店街の特性は?再価値、2タイプの地域活性〜

中心商店街が抱える課題と中心市街地活性化政策の経緯について説明し,地域づくり・地域活性化となる中心市街地活性化すなわち商店街活性化について考察。2タイプの商店街の取り組みをケーススタディとして地域再生の実践に向けて何が必要かを考えた。自ら考え動く身の丈イベントで地域とネットワークをつくり活性化した常陸太田市鯨ケ丘商店街の事例を紹介。

手間をかけるがお金をかけない手づくりイベント,商店街応援団『鯨ケ丘倶楽部』の血清による取り組みにより商店主の意識の変化し,平日の来街者3割増や観光案内所の問合せ増となり全国から視察が訪れる商店街となったことを説明。また,イベントでの賑わいから脱却し,行政に頼らず自ら考えてつくり活性化した佐久市岩村田本町商店街振興組合の事例を紹介。

アンケート実施によりニーズを顧客に聞くことを実施したこと,後継者養成に商人塾や勉強会を開催していること等の取り組みをあげ,アンケートデータ重視を徹底し業展開に活用し,自ら創り,経営するマネージメント意識や,自ら発案する行政に頼らない組織について説明した。同商店街でおこなったヒアリング調査の内容を示し,勉強会で各店舗のビジョンと商店街再生ビジョンを作成し,地域密着型商店街へ店舗再生を図り,空き店舗対策 子育て支援に着目。イベントでの賑わいから脱却し,アンケートによる生鮮3品ニーズから月2回の生鮮市実施や総菜屋の開業へつなげた経緯や背景を説明した。

質疑応答&ディスカッション

テーマ:商店街の活性化にどう関われる?考えている提案を即実行できる?

商店街活性化のケーススタディから研究員間で意見交換と質疑応答がおこなわれ,事例商店街での足並みを揃えた活動についてや,面白いことをやって仲間を増やすという仲間づくり・クラスターづくりの手法について,高岡市でのものづくりによるまちづくりの考え方について,雇用と居住や子育ての課題や高岡市の人口移動についてなど様々な意見がだされ全員でディスカッションをおこない意見や考えを共有した。