たかおか共創ビジネス研究所 第2期 事業リポート

たかおか共創ビジネス研究所第2期開講式

2015年02月17日
たかおか共創ビジネス研究所第2期開講式
日時:平成27年2月17日(金)14:30〜17:00
会場:富山大学高岡キャンパスA棟2F大会議室

富山大学と高岡市の共同主催による,高岡の将来を担う企業人・地域リーダーの育成を目的とした「たかおか共創ビジネス研究所」第2期の開講式が行われ,約1年間にわたる地域課題解決のためのビジネスモデル創造を目標にした講義がスタートした。開講式には研究生の他,主催の富山大学,高岡市関係者,協力金融機関各行と後援機関各団体関係者,マスコミ関係者ら約50名が参加した。

たかおか共創ビジネス研究所開講式

開会

第2期開会に先立ち、主催者を代表してたかおか共創ビジネス研究所所長の髙橋正樹高岡市長と遠藤俊郎富山大学学長が挨拶した。

髙橋正樹高岡市長

「現在策定している高岡市総合計画では共創のまちづくりを大きなテーマにし、キャッチフレーズに「みがき、つなぎ、つくる」ことを掲げています。いろいろな素材を磨き、つなぎ合わせ新しい価値を生み出し、新しい物をつくりあげてという挑戦、革新ということを『たかおか共創ビジネス研究所』で自分の問題として考え、学び、1年間を有意義なものにしてください。皆さんが思い描くものが形となるようこの研究所がお手伝いできればと考えています.共に学習しましょう。」

遠藤俊郎富山大学学長

「今世界は大変な時代になっています。高エネルギー消費時代が終わり、人間が知恵を働かせやれることの限界が近づいてきている中で新しいモノを生み出していく皆さんの力に期待し、大学もサポートしていきます。1人1人の力を合わせ、お互いが周りを巻き込んでいくことで新しいモノをつくっていける。大学でも今日までの大学入試のありかたを根本的に変え、日本人の教育マインドを本気で変える動きがある。日本の国全体が変わらなければいけない。1人1人が小さいことから生き方や古い価値観を変え世界で通用する人をつくっていかなければいけません。皆さんと力を合わせて新しいモノをつくっていってください。楽しくやっていってください。」


第1限

たかおか共創ビジネス研究所開講式

オリエンテーション

たかおか共創ビジネス研究所とは〜開講経緯,事業概要と目標〜
説明:高岡市経営企画部 都市経営課 日名田 尚明氏

たかおか共創ビジネス研究所第2期開講にあたり,研究所開講までの背景や開講の目的を説明。大学を取り巻く環境の変化として国立大学のあり方として地域活性化の中核拠点として大学が役割を果たすこととし、大学による地域活性化の事例として東北大学の地域イノベーション研究センターの取組を紹介し、大学と自治体が協働で地域再生に取り組む有用性を説明。地域づくりを取り巻く環境の変化として行政主導から民間主導の協働スタイルに流れが移行しているとし、空き家利用のコミュニティビジネスや金融と地域が連携した地域再生、社会課題を解決した子育て住宅環境モデルなどの県外事例をあげ、人口減少、少子高齢化へと向かうこれからの時代の新たな地域づくりには共創が必要となると話した。

富山大学との包括連携から『たかおか共創ビジネス研究所』の開設までの経緯を説明。研究所の目標は、地域課題から内需を生み出し、早い段階から企業・金融・行政・大学が地域課題を共有・一緒に考えビジネスで解決することで、目的は、高岡の地域課題を考え、何が出来るのかをみんなで考え、本業を活かしてできるプロジェクトを育成するこであると話し、第1期の研究所の活動を示し、今後の研究所の流れやイメージを伝えた。


特別講義

「高岡銅器団地オープンファクトリー化!」
講師:株式会社高田製作所 常務取締役 高田晃一氏

 企業の概要を紹介し、業務内容や企業課題、たかおか共創ビジネス研究所参加に至るまでの実状を説明した。研究所で教わった「全国の事例に学べ」を実践し、全国のモノづくり企業や産業観光事例を検証。自社の企業課題や業界全体の課題、地域課題の解決を考察して、自社の強みを再認識して生かしして構想したビジネスプラン「高岡銅器団地オープンファクトリー化!」について紹介。富山銀行「とやまベストビジネスアワード」の最優秀賞を受賞し、現在実現へ向かって資金面や事業内容を再構築していると話した。自分一人では出来なかったことを、本研究所での先生やスタッフ・仲間と共に考えたことで実現できたと話し、2期生へこれからの取組にエールをおくった。



「高齢者・子供・働く母親の寺子屋づくり」
講師:株式会社大越仏壇 代表取締役社長 大越則夫氏

 研究所へ入るまでの企業取組みや背景についてを説明。研究所へ参加してCSV(共有価値の創造)という考え方に出会ったことが大きく、地域課題のなかに自社課題の共有を見いだし共有課題解決で社会と企業を発展させることを学び、参考になる講義や事例紹介検証などで自身が大きく成長したとし、印象に残った講義内容や事例を話した。研究所での学びにより地域課題の解決と共通価値の創造により構想した「高齢者・子供・働く母親の寺子屋づくり」事業計画について説明し、現在、先行して1つの寺院で実現へ向けて動き出している状況を説明した。


研究生自己紹介

第2期研究生が自己紹介をおこない、企業情報や事業内容,研究所参加の動機や抱負などを話した。

飯野道子氏  (株)Ayllu
大菅洋介氏  スタジオオオスガ
高野裕史氏  (有)高野不動産商事
塚田高史氏  丸進商事(株)/ストアーまるしん
東海裕慎氏  HANBUNKO はんぶんこ
富増 孝氏  クラシモ神島(株)/(株)神島リビング
南林佐代子氏 ブライト・オン
蓑 泰志氏  (株)みの白峰商事/ゲキテック(株)
武佐和夫氏  (有)武佐興産

たかおか共創ビジネス研究所開講式

座談会

共創のまちづくり 〜地域課題解決と経済活性の両立による地方創生〜
パネリスト
髙橋正樹氏(高岡市長)遠藤俊郎氏(富山大学長) 大越則夫氏(大越仏壇代表取締役社長) 第2期研究生
コーディネーター
金岡省吾氏(富山大学地域連携推進機構教授)日名田尚明氏(高岡市都市経営課)

金岡教授

「第1期研究生の声としてプロジェクトに取り組んだ効果・反響などあったら聞かせてください」

大越氏

「CSVとは何かを考えるところから始まり、ココがびびっと結びついた。どの寺も厳しい状況で横の繋がりも無いという課題のなかこの事業に興味を寄せる声が上がっている。慌てずに成功事例をつくるため今のお寺での取組に力を入れている。婦人会や老人会・自治会などへ声かけして協力者を集めて7月からの運営準備を進めている。お寺の負担も大きくなるため、自治会・老人会・婦人会など地域の人々を巻き込んだ形にしなければいけない」

金岡教授

「単独で動いてたところの繋ぎをつくっていくことが今の地域づくり・地域経営となる。単独で動いていたモノに地域を巻き込んでいくとビジネスになる。皆さんで一緒に考えていくことがコンセプトとなる」

金岡教授

「大学の側からとして第1期の評価と第2期への期待についてお聞かせください」

遠藤学長

「第1期生は一つの形をつくったと思う。地方創生は地方が元気にならないといけない。大学も同じでどうやって人をつくっていくか育てるかが課題。壊していく前に創っていかなければいけない。自分の強み、持っているモノを社会へ活かし、どのような場においても明るい笑顔の場をつくることが目的となるだろう。第一期生はレベルが高い結果を出しつつある。個人の域を超えた共創の結果であろう。第2期生の自己紹介を聞いて皆さんの自信が感じられ期待が一段とふくらんだ」

金岡教授

「高岡市の側からとして活性化のベクトルとして地方創生と共創のまちづくりついてお聞かせください」

高岡市長

「地方創生も地域創生も根っこの哲学は同じ。地方創生のコンセプト.動きには期待している。従来の地方を大切にするという考え方とは違い、今回は人口減少をスタートにしている。人口減少で人口供給のない地域環境のなか国民全体の問題として地方の問題を考えている。地域で考え、小さな拠点が重なってクラスターとなって大きなまとまりとなり社会活動がおこなわれ完結する形が目標ではないかと思う。コンパクトな拠点を持って多極的なネットワークが形成されればよい。第1期生はものづくり創生・コミュニティ創生など柱を見せてくれて大変素晴らしかった。モノだけつくるのではなくプロセスを公開することが共感を得て拡がっていく。ローカルビジネスの成功環境をつくっていきたい。人口減少にも関係するが人手不足である今がビジネスチャンスでもあり、モノにモノをどう付加するかが大切となる。高岡市は文化創造都市を目指している。文化や芸術を通して新しいモノを生み出す力を養いたい。高岡の人口環境は厳しいが地方創生や北陸新幹線開業とチャンスの時期であり、リスクもあるがローカルを見直す機会となっている。皆さんの活躍に期待したい」

金岡教授

「第2期研究生の数人から第1期研究生の活動の感想や市長・学長への質問などうかがいます」

武佐氏

「寺子屋事業と似たような支援学校の放課後教室への送迎を行ったことがあるが、子どもの送迎について親の心配や関心が高かった。送迎があると拡がりそうだと思った」

金岡教授

「いろいろな話題提供を行っていきますので、ココの場では課題が見つかったら出していただき、ぜひご自身で検討していってください」

東海氏

「地方創生は居住と雇用をどう考えるかと思っている。高岡の魅力をつくるのがモノづくりだと思っている。魅力づくりの一番は何だと思われているのか」

高岡市長

「自己実現できる、自分の能力を活かせると思えるか、クリエイティブなモノに関して自分が関わって自由に発言できる環境であると伝わる場所であれば魅力と思っていただけるのではと思う。工場をつくり雇用をつくることもあるが、「モノづくりをしようとする人がいる、つくれる環境がある、周りの人が支援する」環境が、人が人を呼ぶ地域になっていくと考えている」

遠藤学長

「新幹線開通後、時間的に近くなり人の交流で何かが起こるのは確か、地方に住んでみなければ地方の良さは分からない、東京の価値観を地方で語るのは好まない。作家の養老孟司氏は3ヶ月は家族で地方で住まわせ、地方は仕事や住居を用意する国民参勤交代制を唱えたが、実際こういうことをしなければ人口の循環はしない。原始的な生活で自給自足できるエリアで自己完結できることで幸せになれるのかというくらいの発想から考えてみなければいけない」

金岡教授

「CSVの有意性共通価値の創造の必要性について一言お願いします」

丹羽富山大学副学長

「基本的に環境の変化に経済主体や制度がついていけなくなったことが要因。根本そこを直さなければ地方創生はない。周りが変化していく現実をきちんと把握しなければいけない。現実を認識して、地域が自立できるような構造をつくることが求められている。地域の人が地域資源を理解して活かすことが求められ、認知力と感性を持つことが地域に問われている。地域を大切にし自立できるよう皆さんで学んで欲しい。地域創生のカギは地域を担う人を育てることである。どう育てるかが一番大切。自立できる社会・ビジネスを構築していけるのか研究生の皆さんに期待したい」


髙岡共創ビジネス研究所開講式

閉会挨拶

富山大学理事・副学長 丹羽昇氏

「この様な時代の中、自立をする心を持つことは大切である。環境の変化の中、地域課題は沢山ある。新たなる収益を生み出す場を地域でつくり、集積していくことが大切。単なるモノづくりでなくストーリーをつくる産業を生み出し、地域を担う人になるよう頑張ってください」と挨拶し,開講式が終了した。

協力機関

高岡信用金庫 富山銀行 富山第一銀行 北陸銀行

後援機関

経済産業省中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局 高岡商工会議所 公益社団法人富山県新世紀産業機構