魚津三太郎塾第4期修了式は,澤﨑魚津市長,鈴木富山大学副学長,魚津市関係者,富山大学関係者,協力金融機関(富山銀行,富山第一銀行,にいかわ信用金庫,北陸銀行,北國銀行)と後援機関(魚津商工会議所,中部経済産業局北陸支局,富山県新世紀産業機構,北陸職業能力開発大学校等)の関係者,魚津三太郎塾OBなど約50名が参加し,塾生7人による最終プレゼンテーションとポスターセッション,修了証の授与式と座談会がおこなわれ約8ヶ月に渡り開催された魚津三太郎第4期の全カリキュラムが終了した。
開会にあたり主催者を代表して,魚津三太郎塾塾長の澤﨑義敬魚津市長が,「本塾は地域産業の生き残りをかけた魚津産業人の育成の場、学んできた成果の発表を期待している。この産学官金が連携した産業経済人の育成システムが今後もより良いシステムとして発展していくよう今まで以上のご理解ご支援を賜りたい」とあいさつ。遠藤俊郎富山大学長から,修了のお祝いと関係者への感謝の言葉を込めたメッセージが伝えられ,「今回の経験を糧にこれからも社会に貢献し,人を幸せにする新しいモノを生み出してください。塾で知り合い苦楽を分かち合った仲間達を宝物として大切にしてください」と修了生へ向けての言葉が贈られた。
魚津三太郎塾開塾のきっかけから準備・開講までの経緯を紹介し,地域・企業の課題・問題を魚津の地域資源である水循環を守り・育み・活用することで経済と環境を両立した課題解決を,民間企業・行政・大学・金融機関が連携して取り組み,未来の魚津を支える産業人を育成するという塾の目的を説明。第1期から第3期まで各期終了後にPDCAを実施し事業の検証と改善を積み上げ,提案事業の実行率向上を目指し第4期に取り組んだと説明。事業後の検証から開催期間の延長や支援機関会議の設置といった改善を得た第2期事業からさらに検証し,演習・自主ゼミを充実させた第3期がスタートしたこと,中級コースも開講したことを紹介した。続いて第4期魚津三太郎塾の講義・演習概要を説明紹介。平成27年2月の導入講座から修了式に至るまでの講義の内容やポイント,塾生の心構え,演習や自主ゼミでの様子などについて写真を交えて紹介した。
塾生が作り上げた事業プロジェクトについて1人3分間の時間内で事業内容の要点,概要などを発表,ポスターセッションへ続く一言アピールをおこなった。
7名の塾生が約8ヶ月間学んだ集大成である事業計画をまとめたポスターの前に立ち,来場者の方々へ向けてプレゼンテーションするポスターセッションがおこなわれた。塾生はポスターを前に各自の事業計画を説明し,聴取者からの質問や疑問に個別に答え,事業プランに対しての反応や手応えを感じていた。
魚津三太郎塾長の澤﨑市長から第4期塾生7名ひとりひとりに修了証が授与された。
座談会では「明日の魚津を形成する未来の力」をテーマに,ポスターセッションによる塾生発表の内容やこれからの地域活性化、魚津三太郎塾の役割・可能性などを話し合った。7名の塾生から魚津三太郎塾に参加しての感想などが述べられ,前田氏からの魚津三太郎塾を取り巻く最近の環境や修了生の動きなどの話題提供を受け,澤﨑市長が市の立場から,鈴木副学長が大学の立場から魚津三太郎塾の講評を話した。また,来場している協力・後援機関の方から感想コメントも受けた。
「魚津三太郎塾は市民生活の根幹である雇用確保の観点から,新分野の進出など第2創業を模索し,他地域との差別化のため魚津の水循環をテーマに新事業創造することを産学官金連携で早くから取り組んできた。地域における創業支援体制の整備(産業競争強化法)など国も取り組み始めたことから魚津市の取り組み方向は間違ってはなかったと自信が持てた。27年3月から創業支援スキームとして魚津市創業支援事業計画がはじまり,税理士法人による「にいかわ創業スクール」も開かれている。また,修了生の一部はNPO法人三太郎倶楽部を設立し,商品ブラッシュアップやストーリー化などを図る取り組みが国の補助金を獲得して動いている。また6月の新川青年会議所での金岡教授による講演会では参加者から「水循環,CSV,三太郎塾」は大きな反響を呼んだ。講演などで興味を持ち,魚津三太郎塾でコンセプトづくりや意識改革の必要性を学び,NPO法人三太郎倶楽部で個別ブラッシュアップを図るという流れの創業支援スキームが構築できると考えている。事務局からの提案として魚津三太郎塾第5期は,10名の最低人数を設定して開催し,修了生50人となる5期を一区切りとし,次への発展・展開を図るステージを考え,魚津三太郎塾だけで無く魚津三太郎プロジェクトとして一体的に促進させたい」
「高低差4000・水循環を守り育むことが地域愛につながり地域を元気にしビジネスに繋げていくことは地域創生そのものである。新しいプラットフォームの形成など新しい動きがでてきた。修了生の動きや講演会など,修了生が40人超えたことによる地域への2次波及し始めていることが窺える」
「プレゼンテーションにビックリするようなパフォーマンスもあり三太郎塾も4期になると変化してきたという新鮮な感動があった。将来のあるみなさんが頼もしく感じた。魚津の特長である水循環という魚津で完結する自然環境を市民はしっかり受け止め自信と誇りを持って欲しい。山・海・町の各地域の人がどうやって地域を持続可能にしていくかが課題となる。コンパクトシティの考えもあるが上流に人が居ない状況が本当に良いのかと思う。これからは皆さんの時代となる。しっかり頑張って欲しい」
「初めてこの場に参加したが、1つ驚いたのは,共通テーマである水の循環に塾生それぞれの立場・フィールドで巧く話しができており、それぞれのアイディアを取り入れていることで新鮮であったことである。富山大学も高低差4000・水の循環についてもっと研究していかなければいけない。大学が取り組むCOC+は地方を元気にすることで若者を定着させること。皆さんの提案で魚津に来てみたい,住んでみたいと思う人を増やすことが大切。大事なことは情報発信。行政、会社ともにぜひ推し進めていって欲しい。富山大学も情報発信は不十分。行動していることを情報発信していくことが大切です」
「会場の方々からもお話をいただきたい」
「アメリカ人は仕事に生きがいを感じないが,日本人は仕事そのものに生きがいを感じる。三太郎塾のいいところは,自分の仕事をすることが社会還元と自分の生きがいにつながるという思いを持てるところ。世の中の制度や流れが変わる中,「継続は力なり」止めてしまうと1から戻ってしまう。魚津市民全員が三太郎塾を経験するようになるのが最も大切である」
「金融機関もうかうかしていられない。銀行員は創業する人がいない。若い行員に刺激を与えて欲しい」
「経済と環境をテーマとした中で銀行は経済の面でどうお手伝いができるが役割である」
「魚津の水循環を守る取り組みを真剣にとらえ,魚津全体の活性につながるよう支援していきたい」
「魚津で頑張る覚悟と気概が伝わってきた。支援機関を頼って欲しいがビジネスを継続するという熱い気持ちだけは忘れないで欲しい」
「銀行はプロセスを売っている。コミュニティを明確にしてコミュニティを切り口にすればビジネスは成り立っていく」
「しっかり市民に活動を伝え,応援団を作って欲しい。情報発信し顔が見える形で市民の前に出て行って欲しい。社会の共益性を高めること,CSVが重要視される。市民を巻き込み実践していって欲しい」
「サポートできることも多いので,何かあれば遠慮無く気軽に問い合わせて欲しい」
「三太郎塾は若い人の集まり,魚津に今まで無かった若い人のプラットフォームができてきた。これからドンドン姿が見えるようになってくるだろう」
「結果が素晴らしいカタチでつながっていくよう期待したい。富山大学の地方創生の合い言葉は「信頼の循環」。大学は地方創生できる学生を,企業・自治体へ送り出し,卒業生が活躍することで信頼が生まれ,大学の必要性を実感していただく循環をつくりたいと考えた。富山大学はこの三太郎塾を含めた地域の人を育む中で、地方を元気にする人を応援できる環境を整え,地域創生を実現することが不可欠である。この様なプログラムが実を結び,次のステップをつくり、そこに色々な人が真剣に関わっていく。その様な循環ができれば,「水」の循環とともに「人の心」の循環ができるのであり,より素晴らしい地域づくり・まちづくりができると確信しています」と総括して締めくくり第4期のすべてのプログラムが終了した。