舟橋村・富山大学 地域づくり連携協定事業-『協働型まちづくり』を推進する、日本一小さな自治体の地域づくり

『協働型まちづくり』を推進する、日本一小さな自治体の地域づくり
平成21年度事業

ふなはしまちづくり塾
「総合計画策定に向けて地域の課題を考える」

日時 平成21年12月7日(月)19:00〜21:00
場所 舟橋会館 2F研修室
参加者 舟橋村住民約40名

これからの舟橋村の地域づくりについて、住民が一緒になって考えるための勉強会として「ふなはしまちづくり塾」が開催された。富山大学から講師を迎えた今開催では、来年度に予定される舟橋村の次期総合計画の策定に向けて、「総合計画の意義」と「住民参加型まちづくり」への理解を深めることが目的である。

講義に先立ち、舟橋村総務課の吉田昭博氏から今回の趣旨説明がおこなわれ、住民・行政の連携による“協働型まちづくり”の推進と実現に向けた取組みが説明された。約40名の住民参加者らは、総合計画の役割や策定に向けた住民参画の意義と課題、また協働型まちづくりの現状や課題について理解を深めた。最後に、“総合計画への住民意識の反映”を目指す試みとして、「まちづくりワークショップ」の開催が案内され、参加が呼びかけられた。

講義

テーマ「市町村における総合計画の役割と住民参加の意義」
講師 富山大学経済学部 小柳津英知 准教授
  「市町村における総合計画の役割と住民参画の意義」

自治体における総合計画とは、行政全ての基本方向を示すもので、地方自治法により策定が義務づけられた、行政施策にあって最も上位に位置付けられる計画である。総合計画は計画行政の基礎であり、様々な分野にわたる事務事業を一つの方向性のもと、計画的に推進するための総合的かつ長期的な指針となる。総合計画は長期ビジョンとなる基本構想、実現の施策を定める基本計画、具体的事業として実現する実施計画の三層構造から成りたつ。10年を計画期間とする場合、少なくとも1年以上かけるのが一般的で、最終的に議会の議決が必要となる。

近年、総合計画の問題点として、住民参加が不十分でその「存在」も「内容」も知らない住民が多かったり、計画策定自体が目的化し、計画の実施評価がなされてないことが指摘されている。近年の地方分権改革の進展や複雑化する行政課題にあって、住民参加の必要性は高まり、優先順位も従来の「開発中心」から「環境保全」「社会資本の有効活用」などへ変化している。総合計画策定に際して、住民ニーズを直接反映させることで総合計画の意義や正当性も高まること、また住民と行政との相互理解が深まることなどから、自治体の主人公である住民が策定プロセスに参加していくことが重要になってきている。

講義

テーマ「協働型まちづくりの現状」
講師 富山大学地域連携推進機構 地域づくり・文化支援部門 金岡省吾 教授
「協働型まちづくりの現状」

住民参加から一歩踏み込んだ協働型まちづくりの全国の事例から、「協働型まちづくり」とはどういうものかを考え、これからの舟橋村のまちづくりに何が必要か一人ひとりが考えることが重要である。

地域を取り巻く環境の変化により、まちづくりも変化しており、新しい地域経営に「新たな公」の概念が基軸となった協働型地域づくりが注目されている。「新たな公」とは公と私の中間領域で、行政だけでなく多様な民間主体を地域づくりの担い手と位置づけ、その協働によって、地域のニーズに応じた社会サービスの提供等を行おうとする考え方である。尾道市みなとオアシス瀬戸田の事例から、地域資源活用型特産品販売による地域活性化の取組みとイベント開催やギャラリー整備による賑わい創出の取組み、構想段階から運営・維持管理まで住民参加によって創り上げられた、地域の個性を活かす最近のまちづくりの流れを紹介。また、北海道登別市ふぉれすと鉱山の事例から、小さな動きから始まり、小さな市民活動としての協働型まちづくりの実践が、少しずつ広がり村づくりへ発展した経緯が紹介された。多様な民間主体の連携と行政との有機的連携をとりながら、担い手が協働で新しい地域経営、新しい地域課題解決のシステム構築を行うなど、既に多くの地域で「地域のみんなで考え、みんなで身近な課題解決へ取組む」協働型地域づくりが挑戦されている。

次に新たな地域経営の先駆事例として、高岡市の次世代経営塾が発足させた仮想国家「立山連邦」の事例、島根県奥出雲市の電子部品会社の雇用創出による地域社会への貢献を目指した異業種への新事業進出の事例を紹介。これら最近のまちづくりの事例から、地域資源を見直しながら、みんなで考え、みんなで身近な課題解決に取り組む協働型まちづくりを参考に、これからの舟橋村のまちづくりにどのように活かすか皆さんと考えていきたい。

講義終了後には、富山大学地域連携推進機構 地域づくり・文化支援部門 碇谷勝 研究員から、翌年1月から2月にかけて開催される「まちづくりワークショップ」の案内が行われた。住民の中から地域課題の掘り起こし、まちづくりに関する議論を深め、解決に向けたまちづくりの施策を考える場として開催するとともに、総合計画や地域施策への反映を目指す旨の説明がなされ、ワークショップへの参加が呼びかけられた。

 閉会にあたり、金森勝雄村長は「今日が新しい総合計画のスタートとなります。」と住民参加による総合計画策定を呼びかけ、「ふなはしまちづくり塾」は終了した。