地域産業資料室漆トランプ入

器胎を満開の桜花で表わし、空間に日の出を配した日本画風の意匠による木彫堆朱の作品。

村上木彫堆朱は一般に唐物風意匠によるものが多いが、繊細緻蜜な木彫刻の上に漆塗りを行うもので、その彫刻を埋めないように要所は指頭を使って漆を塗るともいわれている。

この作品はそのデザインから昭和初期の輸出品として村上堆朱の特長を生かしながら制作されたものと考えられる。

※堆朱 朱漆を数十回から数百回塗り重ねて、文様を彫刻する技法を堆朱という。

※木彫堆朱 堆朱を模して木地に緻蜜な彫刻を施し、朱塗りしたもので新潟県村上市では享保年間（１７１６〜３６）にすでに産し、幕末から明治にかけて産業として次第に発展した。